糖尿病が悪化して透析になるといったパターンがここ数年、増加傾向にありますが、今回はそんな糖尿病から人工透析になる原因や対策について説明をします。

現在、糖尿病の方や、その傾向がある方も、この記事を読むことで予防に取り組めるようになると思います。

糖尿病から人工透析になる人が増えている

現在、日本では糖尿病の患者さんが約1000万人、糖尿病が疑われる予備軍の人が約1000万人いると推計されています。(平成28年国民健康・栄養調査より)

糖尿病は感知する事はありませんので、生活習慣を見直し、きちんと服薬を管理していかないと、やがて合併症を引き起こしてしまう事になります。

合併症は主に3つあり、腎臓の働きが悪くなる「糖尿病性腎症」、目の中の血管が傷ついて視力が低下する「糖尿病性網膜症」、手足の痺れや感覚が鈍くなるなどの症状が見られる「糖尿病性神経障害」があり、これらを糖尿病の三大合併症といいます。

その他にも「脳卒中」・「心筋梗塞」「肺炎」・「歯周病」などもあり、「認知症」とも関連があることがわかってきています。

この糖尿病の3大合併症の中の「糖尿病性腎症」ですが、対処せずに放置していると、じん臓の機能障害が進み、やがて「じん臓死」となり人工透析(じん臓の代替治療)が必要となります。

2019年の透析患者数は34万4,640人で、新規導入患者数は4万0,885人、うち1万6,019人が「糖尿病性腎症」となっています。これは全体の41.6%を占めており、透析導入に至る原疾患の第1位となっています。この数字からもいかに糖尿病から透析導入に至る人が多いのかがわかります。

人工透析になると1回に5時間ほど時間が掛かり、それを週に3回行う必要があります。そうすると1週間のうち、生活の時間が15時間拘束される事になりますので、不便を感じる事になるかもしれません。

糖尿病から腎機能が悪化するメカニズム

腎臓には、糸球体という毛細血管が集まった組織があり、血液をろ過して老廃物を尿として排泄します。毛細血管の周りには血液をろ過するフィルター(膜)があり、血液から老廃物などを取り除いて尿を作って体外に排出します。

その際、老廃物と一緒に水分・電解質・糖・アミノ酸なども一度尿の中に排出し、必要なものを「尿細管」で再吸収する仕組みになっています。

しかし、糖尿病による高血糖状態が続く事で、この糸球体の血管が損傷を受けてしまい、フィルターが粗くなってしまいます。

その結果、血液中に不要なものが溜まり、正常ならろ過されないはずのたんぱく質が尿に混ざって漏れ出てしまうようになります。

さらに進行すると糸球体の構造が壊れて減少し、腎臓のろ過能力が大きく低下し、最終的に老廃物を排出することができなくなり、腎代替療法(透析)が必要な腎不全状態に至ります。

そして、血管が狭くなり、ろ過の機能が落ちたりすると、高血圧を合併することもあります。糖尿病と高血圧が合わさると、さらに腎臓を悪化させるという悪循環に陥ります。

人工透析にかかるお金の話

透析治療の1ヶ月にかかる医療費は、患者一人につき人工透析では約40万円程度が必要といわれています。2019年時点での透析患者総数は34万4,640人ですので、

日本全体で透析治療にかかる医療費は
40万円×12ヶ月×34万4640人=1兆6542億7200万円
かかる計算になります。

このように透析治療はかなり高額な費用が掛かりますが、患者自身にかかる負担はというと、必要な手続きをすることで軽くすることができます。

そのためには、担当の医師に「特定疾病療養受療証交付申請証」という書類を記入してもらい、加入している保険者(健康保険組合や健康保険協会、共済組合、市町村国民健康保険課)の窓口に申請をすると、透析治療の自己負担は1か月、1万円が上限とすることができます。※一定以上の所得のある人は2万円が上限になります。外来・入院・薬局等、それぞれでの負担となります。

さらに「自立支援医療(更生・育成医療)」や「重度心身障害者医療費助成制度」を自治体に申請すれば自己負担0円にすることもできます。

糖尿病から腎機能を悪化させないために

先に説明した通り、糖尿病の合併症は主に「目」「神経」「腎臓」の3か所に発症しますが、現時点でまだ腎症を発症していない段階であれば、血糖をしっかりコントロールすることが予防につながります。そして血糖のコントロールには、「日々の食事」が大変重要となります。

食事の中で「」の摂り過ぎに注意を払うのと、それに加えて腎臓に負担をかける因子として注意したいのが「塩分」です。

1日の塩分量を減らすだけで、日中の血圧も夜間の血圧も顕著に下がり、腎臓への負担も軽減されることが報告されています。

医食同源」という言葉があるとおり、やはり「食事」が大切なのです。そして適度に「運動」することで、糖尿病性腎症への進行をある程度防ぐことができます。

まとめ

現在の日本は6人に1人が「糖尿病及びその予備軍」と言われています。ここまで、糖尿病と人工透析について説明をしてきましたが、やはり生活習慣の乱れが原因となっているケースが多そうです。

私たちが日々気を付ける事と言えば、「食事」「運動」「生活習慣の見直し」など、わりとカンタンに取り組めるものが多いと思いますので、出来る事から取り組んでいきましょう。

そして忘れてはいけないのが、定期的な受診の継続です。もし、健康診断で「糖尿病」や「糖尿病性腎症」を指摘されたら、放置せずに必ず医療機関を受診しましょう。


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