高齢者の方に自宅でもできるだけ栄養面に配慮した食事をしてもらうためには栄養改善型配食サービスを利用するのが良いと聞いたけれど、具体的にどのようなサービスなのかイメージがわかないという人はいませんか?

この記事では栄養改善型配食サービスの定義からサービスの利用料金まで詳しく解説します。

栄養改善型配食サービスとは?

厚生労働省では地域の高齢者などに向けた配食サービスについて、「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」で次のように定義付けています。

【 配食事業】
「配食事業」とは、特定かつ多数の地域高齢者等に対し、主に在宅での摂取用として、次に掲げる食事を継続的に宅配する事業をいう。 主食、主菜及び副菜の組合せを基本(主食なしのものを含む。)とする、1食分を単位とした調理済みの食事(冷凍食品、チルド食品等を含む。)

出典:厚生労働省 「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン P2」


配食事業は地域の高齢者などに向けて調理済みで定食型の食事を届け、必要があればカロリー、タンパク質、食塩量なども調整できるため栄養改善型配食サービスと呼ばれるのです。

参考:厚生労働省「配食利用者向けパンフレット」


栄養改善型配食サービスの対象者

栄養改善型配食サービスの対象者となるのは地域高齢者です。

地域高齢者とは地域の自宅で生活する65才以上の高齢者と、地域高齢者に準じた健康支援を行う必要のある65才未満の人を指します。

栄養改善型配食サービスを行う事業者にはよく「高齢者でなくても利用できますか?」という問い合わせがありますが、例えば高齢者ではない人の場合でも低栄養状態が続いているとすれば、健康状態の改善を目的にサービスを利用することができるのです。

栄養改善型配食サービスの制度ができた背景

栄養改善型配食サービスの制度ができた背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

2つご紹介します。

高齢者の食事における課題を解決するため

年齢とともに身体や心の働き、社会的なつながりが弱くなって健康障害を引き起こしやすい状態を「フレイル」と呼びますが、フレイルを予防するために重要なのが低栄養の改善です。

2020年版「日本人の食事摂取基準」において示された高齢者の推定エネルギー必要量は次の通りです。

男性女性
身体活動レベル1(低い)
※自宅でほとんど外出しない、もしくは高齢者施設で自立している人
2,050kcal1,550kcal
身体活動レベル2(普通)
※自宅で自立している人
2,400kcal1,850kcal
身体活動レベル3(高い)
※仕事に従事するかスポーツを行っている人
2,750kcal2,100kcal

またフレイルタンパク質摂取量との間には関連があるとされ、日本の高齢者の場合男性は1日に48 g、女性は1日に 43.3 g以上のたんぱく質を摂取すると、これよりも少ない量を摂取している場合と比較して、フレイルのリスクが低くなると報告されています。

2012年に内閣府が行った「高齢者の健康に関する意識調査」の結果によると現状栄養改善型配食サービスを利用している人は65才以上の人で3.9%、75才以上の人で5.0%という結果でした。

しかし自身で食事を準備できなくなった際に民間の栄養改善型配食サービスを利用したいと答えた人は65才以上の人で31.3%、75才以上の人で26.1%だったのです。

これらのことから高齢者自身が低栄養を自分自身の課題として捉え、その課題解決のために国がカロリーやタンパク質の摂取量を調整できる栄養改善型配食サービスを推進していることがわかります。

参考:厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」高齢者
参考:厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理の在り方と今後の展開について」

地域で高齢者を支えるため

日本では、団塊の世代と呼ばれる1947年~1949年生まれの人たちが全員75才以上となる2040年まで高齢者の人口が増加し続けると見られています。

また2025年からは、日本における生産活動の中核労働力となる生産年齢人口の減少が加速すると予想されているのです。

これらのことから介護や医療を支える人材の不足に備え、高齢者の生活を地域で支える仕組みとして生まれたのが地域包括ケアシステムです。

地域包括ケアシステムの中でうたわれているのが生活支援・介護予防サービスの充実ですが、栄養改善型配食サービスはこの中の1つと位置付けられ、高齢者の在宅生活を効率的に支えているのです。

参考:厚生労働省「福祉・介護人材確保対策について」
参考:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」

栄養改善型配食サービスを利用するメリット・デメリット

栄養改善型配食サービスを利用するメリットデメリットをそれぞれご紹介します。

栄養改善型配食サービスを利用するメリット

栄養改善型配食サービスを利用するメリットは次の3つです。

1、高齢者が栄養バランスの良い食事を摂れる

自宅で栄養バランスに配慮した食事を1日3回作るというのは簡単なことではありませんが、栄養改善型配食サービスでは管理栄養士が献立を監修している場合が多く、カロリー制限、塩分制限、タンパク質の積極的な摂取などさまざまなニーズに合わせた食事を配達してもらうことができます。

また毎日食べても食べ飽きることのないよう豊富なメニューが用意されているため高齢者のQOL(生活の質)の向上にも役立つでしょう。

2、買い物や調理の手間が省ける

高齢者やその家族によっては、買い物や調理にかかる負担がとても大きいと感じる人もいます。

栄養改善型配食サービスでは調理済みの食事を自宅まで届けてもらうことができるため、これらの負担を軽減し、高齢者や家族が別のことに時間を割くことができるようになるのです。

時間に余裕ができれば、精神的にゆとりを持って生活を送ることができるでしょう。

3、事業者によっては安否確認をしてもらえる

栄養改善型配食サービスを行う事業者によっては配食の際、安否確認をしてくれる場合があります。

例えば高齢者が独居で生活をしている場合でも、遠方に住む家族に配食時の様子が伝わるため本人も家族も安心して過ごすことができるでしょう。

栄養改善型配食サービスを利用するデメリット

栄養改善型配食サービスを利用するデメリットは次の2つです。

1、配達エリアが限定される

栄養改善型配食サービスを行う事業者によっては配達エリアが限定される場合があります。

食事のニーズに合った事業者を探すことも大切ですが、ホームページなどで一度高齢者の自宅が配達エリアに含まれているかどうかを確認することが大切です。

2、介護保険外サービスのため実費が発生する

栄養改善型配食サービスは介護保険外のサービスと位置付けられているため、利用をするには実費がかかります。

利用したい事業者の1食あたりにかかる費用配送料がどのくらいなのかはあらかじめ調べておきましょう。

栄養改善型配食サービスの料金

栄養改善型配食サービスは介護保険外のサービスのため、事業者によって料金はさまざまです。

ただし地方自治体によって栄養改善型配食サービスを利用するのに補助金や助成金を出している場合があり、この場合は補助を行っていない自治体と比較すると割安な料金で利用できます。そして、サービス内容や補助の金額も自治体によって違いがあります。

例えば「宅配クック123朝霞・和光店」が配食しているエリアの朝霞市・新座市にはそれぞれ助成金がありますが、和光市では特定高齢者・要支援高齢者・要介護高齢者を対象に配食費用の助成だけではなく、管理栄養士による指導と調理の自立支援サービスを受けることができるのです。

あらかじめ高齢者の住む地方自治体において、どのような条件で補助金や助成金が受給できるのかを調べておくのが望ましいと言えるでしょう。

配食サービス検索システムの利用手順

地域にどのような栄養改善型配食サービス事業者があるのかは、厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」や民間の配食サービス検索システムを用いると簡単に検索することができます。

「介護事業所・生活関連情報検索」における検索の手順は次の通りです。

① 検索したい都道府県を地図の中からクリックする

② 「生活支援等サービスを検索する」をクリックする

③ 調べたい地方自治体にチェックを入れる

④ 「配食」にチェックを入れて「検索する」をクリックする

地域の配食サービスに絞って検索できるため、メニューや料金などをしっかり確認するようにしましょう。

参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」

宅配クック123の取り組み

朝霞市・和光市・新座市で栄養改善型配食サービスを行っている宅配クック123朝霞・和光店が、地域でどのような取り組みを行っているのかを3つご紹介します。

健康ボリューム食で健啖家の高齢者を応援

高齢者の食事支援というと、フレイル予防低栄養状態の改善にばかり目がいきがちですが、宅配クック123では食が細い人ばかりを支援するのではなく、食べる楽しみを味わいたい方向けに「健康ボリューム食」を提供しています。

普通食では物足りなさを感じる方、若い時から食欲旺盛で健啖家と言われた方にも満足してもらえる内容のメニューでお届けしているのです。

季節の行事食としても活用できるので、食事で生活の質を上げたい方におすすめです。

参考:宅配クック123「商品一覧 健康ボリューム食」

たんぱく質制限食を提供

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では高タンパクな食事が推奨されていますが、宅配クック123では見逃されがちなタンパク質制限食のニーズにもしっかりと応えています。

腎臓病やパーキンソン病などでタンパク質の摂取を控えたり、少量を頻回摂取しなければならなかったりする場合に「たんぱく・塩分調整食」がおすすめです。

参考:宅配クック123「商品一覧 たんぱく・塩分調整食」

安否確認を実施

宅配クック123の配達員は、配達時に高齢者の方の顔色や様子に注意して配達を行っています。

また体調急変など緊急事態が発生した際はあらかじめ決められた緊急連絡先へとお知らせをするため、独居の高齢者の方におすすめです。

宅配クック123の取り組みについてさらに詳細を知りたい場合は資料請求ページからお問い合わせをお願いします。

宅配クック123資料請求ページ(無料試食券つき)

まとめ

栄養改善型配食サービスとは地域の高齢者などに向けて調理済みで定食型の食事を届けるサービスのことを指し、地域包括ケアシステムの中の生活支援・介護予防サービスの1つと位置付けられ、高齢者の在宅生活を効率的に支えていることがわかりました。

地域で高齢者の方が生き生きと生活するためにも、ぜひ栄養改善型配食サービスを利用してみてください。