噛む力や飲み込みの力が弱くなっても、さつまいもなら食べやすそうなので介護食として取り入れたいけれど、どんなメニューが好まれるのかわからないと感じている人はいませんか?
この記事では介護食でさつまいもが人気の理由と、簡単に自宅で作り置きできるさつまいもペーストの作り方をご紹介します。
介護食でさつまいもが人気の理由
Google検索で「介護食 さつまいも」と検索するととてもたくさんのレシピが出てきますが、どうして介護食としてさつまいもはこのように人気が高いのでしょうか。
その理由は次の3つです。
1,栄養価が高い
介護食としてさつまいもの人気が高いのは、さつまいもには高齢者が積極的に摂りたい栄養素が豊富に含まれているためなのですが、どのような栄養素が含まれているのか抜粋して3つご紹介します。
食物繊維
高齢者の場合運動不足などにより便秘になりがちですが、さつまいもには食物繊維が多く含まれているため、予防につながります。
食物繊維はさつまいも100gあたり皮なしでは2.2g、皮ありでは2.8gの含有量なので、便秘予防を目的に介護食にさつまいもを取り入れるなら、皮ごと食べるようにするのが望ましいでしょう。
カリウム
日本人の高血圧の最大の原因は塩分の摂りすぎのため、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では成人男性が7.5g未満、成人女性が6.5g未満という目標量が掲げられています。
e-ヘルスネットの高血圧の項目では、厚生労働省が推奨する減塩するためのコツがいくつか挙げられていますが、その中にはカリウムが腎臓から食塩を排泄しやすくする働きがあると明記されているのです。(腎臓病の方はカリウム摂取制限をする場合があるため医師と要相談)
カリウムはさつまいも100gあたり皮なしで480mg、皮ありで380mg含まれているため、高血圧予防やむくみ防止を目的とするなら、介護食としてさつまいもを積極的に取り入れることをおすすめします。
ビタミンC
皮膚や血管の老化を防ぐ作用があり、免疫力を高めて風邪予防にも効果的なビタミンCですが、さつまいもには100gあたり皮なしで29mg、皮ありで25mg含まれています。
ビタミンCは熱に弱く、加熱して調理すると通常は分解されてしまうのですが、いも類に含まれているビタミンCはでんぷんによって守られているため、加熱後も分解しにくいというメリットがあるのです。
2、おかずからおやつまでアレンジ自在
さつまいもは栄養価が高いというだけではなく、「おかず」から「おやつ」までレシピが豊富でアレンジしやすいというのも介護食として人気が高い理由の1つです。
例えば介護食の行事食としてさつまいもを取り入れるなら、天ぷらや炊き込みごはんなどが喜ばれるでしょう。
また普段の「おかず」としてなら煮物、「おやつ」としてならスイートポテトや大学いもなど高齢者の方に飽きずに食べてもらえるようさまざまな工夫ができます。
3、噛む力や飲み込む力が弱くなっても食べられる
さつまいもは噛む力や飲み込む力が弱くなっても、調理次第で食べやすくするのが可能な食材です。
例えば介護食のソフト食を普段食べている高齢者の方向けには固形のさつまいもを小さめに切った後やわらかく煮て提供し、ミキサー食を普段食べている方向けにはポタージュスープにして提供すると問題なく食べることができるでしょう。
介護食として便利なさつまいもペーストとは?
介護食には作り置きが便利ですが、大手のレシピサイトとして有名なクックパッドで「さつまいもペースト」を検索すると、2021年12月現在558種類ものレシピが出てきます。
またレシピの説明文には「介護食」「離乳食」「残ったさつまいもを有効活用」などの記載があるため、時間の余った時に残っているさつまいもをさつまいもペーストにして保存し、必要な時に再度調理しておかずやおやつにしたいというニーズがあることがわかるでしょう。
簡単に作れて汎用性の高い「さつまいもペースト」の作り方、保存方法、アレンジ方法をご紹介します。
さつまいもペーストの作り方
介護食におけるさつまいもペーストは多めの材料でたくさん作って保存する人もいれば、余ったさつまいもで作り置きする人もいるので材料の目安を表にまとめてみました。
準備する材料はさつまいも、バター、塩の3種類だけです。
さつまいも | 1本 | 2本 | 3本 | 4本 | 5本 |
バター | 20g | 40g | 60g | 80g | 100g |
塩 | 1g | 2g | 3g | 4g | 5g |
《作り方》
- さつまいもをよく洗ってアルミホイルに包み、180度のオーブンで60分焼く
- 焼きあがったら熱いうちにさつまいもの皮をむいて裏ごしし、バターと塩を入れて混ぜて完成
好みで砂糖やはちみつ、牛乳などを加える場合もあるようですが、アレンジしやすくするならシンプルな味付けにしておいた方が使いやすいでしょう。
さつまいもペーストの保存方法
作ったさつまいもペーストを美味しく長持ちさせる保存方法をご紹介します。
- さつまいもペーストをジップロックなどの保存用袋に入れ、空気を抜いて平らにならす
- 菜箸などを用いて1回分の分量の目安となるようブロック状に分け目をつける
- アルミパッドなどに乗せて平らな状態で冷凍庫に入れる
冷凍したさつまいもペーストは約1か月程度持ちます。
解凍する際は電子レンジを用いるようにしましょう。
さつまいもペーストのアレンジ方法は?
さつまいもペーストから作ることのできる介護食レシピは検索をかけてもたくさん出てきますが、代表的なレシピを3つご紹介します。
さつまいものポタージュスープ
寒い時期は身体が温まり、飲み込む力や噛む力に問題がある高齢者の方でも食べやすいさつまいものポタージュスープの作り方は次の通りです。
《材料(1人分)》
・さつまいもペースト(125g)
・牛乳(150ml)
・生クリーム(15ml)
・塩(適量)
・こしょう(適量)
・パセリ(適量)
《作り方》
- さつまいもペーストを電子レンジで解凍し、牛乳をフライパンで温める
- 牛乳が温まったら弱火にしてさつまいもペーストを少しずつ加え、溶かしながら混ぜる
- とろみがついたのを確認したら生クリームを加える
- 塩、こしょうを加えて味を整えたら少し煮詰める
- スープ皿に盛りつけ、好みでパセリを散らして完成
高齢者の方の好みの温度に調整して提供すると、さらに美味しく食べてもらえるでしょう。
さつまいもコロッケ
揚げ物で高齢者の方に元気を出してほしいという場合は、介護食としてさつまいものコロッケを作るのもおすすめです。
《材料(1人分)》
・さつまいもペースト(100g)
・鶏ひき肉(50g)
・たまねぎ(1/4個)
・バター(5g)
・牛乳(適量)
・塩(適量)
・こしょう(適量)
・ナツメグ(適量)
・小麦粉(適量)
・パン粉(適量)
・たまご(1/2個)
・サラダ油(適量)
《作り方》
- さつまいもペーストを電子レンジで加熱し、たまねぎをみじん切りにする
- みじん切りにしたたまねぎをバターと一緒に耐熱ボウルに入れてラップをふんわりとかけ、600Wで3分加熱する
- フライパンにサラダ油をひいて鶏ひき肉を炒め、色が変わってきたら塩とこしょうで味を整える
- 温めた玉ねぎのみじん切りを加えて炒める
- さつまいもペーストを加えて炒め、水分が少なくなり過ぎた場合は少し牛乳を加えて調整する
- ナツメグを加える
- 皿にとって冷ます
- 手にサラダ油を少し塗ってたねを取り、コロッケの形に整える
- 小麦粉、たまご、パン粉の順番で衣をつける
- 油で揚げる
- 上がったら油をよくきってお皿に盛りつけて完成
介護食としては油を多く使う揚げ物はあまり好まれないのではないかと考える人もいますが、カレーやハンバーグなど意外とがっつりしたメニューも人気があるため、さつまいもコロッケも気後れしすぎず提供してみましょう。
スイートポテト
介護食のデザートやおやつとしてさつまいもを取り入れたい場合はスイートポテトがおすすめです。
《材料(1人分)》
・さつまいもペースト(37g)
・砂糖(4g)
・卵黄(小さじ1/2+つや出し用少々)
・バター(4g)
・バニラエッセンス(少々)
《作り方》
- さつまいもペーストを電子レンジで加熱し、解凍できたら砂糖を加えて混ぜる
- 卵黄、生クリーム、常温にしたバター、バニラエッセンスを順番に加えて混ぜ合わせ型に入れる
- つや要の卵黄を表面に塗り、オーブントースターで2分焼いて焼き色がついたら完成
さつまいもペーストを解凍し、材料を順番に入れて混ぜるだけの手順で作ることができるため、手間をかけたくない時のデザートやおやつとしても提供しやすいでしょう。
宅配クック123のお弁当で人気のさつまいもメニューは?
栄養価が高く、調理方法次第で行事食、普段のおかず、おやつとアレンジが効くため介護食として人気の高いさつまいもですが、宅配クック123でも人気のあるメニューの1つに数えられています。
おかずとして人気があるのはシンプルな「さつま芋煮」で、デザートとして人気があるのは「さつまいもの蜜がけ」と「ゆず入り芋きんとん」です。
高齢者の方の声を反映して、2021年12月の献立では12月5日の昼食に「ゆず入り芋きんとん」、12月29日の昼食に「さつま芋煮」、12月12日の夕食に「さつまいもの蜜がけ」が提供される予定になっています。
手軽に介護食として人気のあるさつまいもを取り入れたいなら、ぜひ宅配クック123の試食から始めてみませんか。

まとめ
介護食としてさつまいもの人気が高いのは食物繊維やカリウム、ビタミンCなど高齢者に必要な栄養をたくさん摂れることはもちろん、さつまいもペーストを作り置きしておくことでさまざまなレシピに活用することのできる使い勝手の良さが理由だとわかりました。
この記事も参考にして美味しくておかずとしてもデザートとしても食べやすいさつまいもを、ぜひ介護食として幅広く活用してみてください。