本人が好きなので、たまには介護食で牛肉を出したいと考えているけれど、カロリーが高そうで高齢者には重たすぎるのではと悩んでいる人はいませんか?
この記事では介護食で牛肉を用いるメリットから人気のメニューまで詳しく解説します。
介護食で牛肉を用いるメリットとは?
介護食で牛肉を用いるメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
3つご紹介します。
1,タンパク質でフレイルのリスクを下げる
タンパク質は炭水化物・脂質と合わせて三大栄養素と呼ばれ、筋肉や骨、皮膚などを作る役割があります。
高齢者の場合、タンパク質が不足すると健康障害になりやすい状態である、フレイルを引き起こしやすくなるのが問題です。
日本の高齢者の場合男性は1日に48 g、女性は1日に 43.3 g以上のたんぱく質を摂取すると、これよりも少ない量を摂取している場合と比較して、フレイルのリスクが低くなると報告されています。
このため、介護食ではタンパク質を意識して摂取することが大切なのですが、文部科学省が提供している「食品成分データベース」で牛肉を検索してみると、部位にもよりますがタンパク質が100gあたり4g~27gほど含まれているのです。
このことから、高齢者がタンパク質を積極的に摂取するためのおかずとして牛肉は重要な食材であると言えるでしょう。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」高齢者
参考:文部科学省「食品成分データベース」
2,ビタミンB6でうつ病を予防する
厚生労働省が3年ごとに行っている「患者調査」の結果では、高齢者における「うつ病」の推計患者数が次のように推移しています。
年次 | 65歳以上 | 75歳以上 |
2011年 | 214,000人 | 99,000人 |
2014年 | 393,000人 | 192,000人 |
2017年 | 422,000人 | 216,000人 |
高齢者のうつには他の年齢層には見られない特徴があり、加齢による心身の機能低下を受け入れられないこと、社会的な役割を喪失することによる孤独を受け入れられないことが発症の引き金となることが多いと言われているのです。
また「うつと認知症」、「うつと生活習慣病」が合併して起こる場合も多く、これらは高齢者のQOLを大きく低下させてしまいます。
うつは一度罹患してしまうと予後があまりよくなく、一般社団法人日本健康倶楽部では地域在住または一般医療機関を受診した60才以上のうつ病高齢者は2年後には33%が回復し、33%はうつ状態が継続し、21%は死亡しているという結果を公表しています。
これらのことから高齢者においては特にうつを予防することが大切だと言えますが、気分を落ち着かせたり、健康的な神経システムを保持する役割を果たしたりしているのがビタミンB6です。
文部科学省が提供している「食品成分データベース」で牛肉を検索すると、部位にもよりますがビタミンB6は100gあたり0.16g~0.37gほど含まれているのです。
介護食で牛肉を積極的にメニューに取り入れることは、うつ病の予防にもつながります。
参考:厚生労働省「患者調査」
参考:一般社団法人日本健康倶楽部「うつ病エピソードチェック表第3部 普及啓発用教材 高齢者のうつ病について」
参考:文部科学省「食品成分データベース」
3、行事食から普段のおかずまでレシピが豊富
介護食としての牛肉は、行事食から普段のおかずまでたくさんのレシピがあり、高齢者の方が食べ飽きないようさまざまなメニューを提供することができるでしょう。
例えば行事食としてはすき焼き、ビーフシチュー、牛しゃぶなどを取り入れると食卓が華やかになります。
また普段のおかずとして肉じゃが、牛肉のしぐれ煮、牛丼などを提供すると定番の味として高齢者の方がほっとした気分を味わえるのではないでしょうか。
他にも工夫次第でいろいろなアレンジが施せるのが、介護食としての牛肉の良さだと言えるでしょう。
介護食として牛肉を用いる際の工夫
介護食として牛肉を用いる際にはどのような工夫をするのが望ましいのでしょうか。
3つご紹介します。
1,やわらかい部位を選ぶ
牛肉にはさまざまな部位があり、それぞれの美味しさがありますが、介護食として高齢者の方に提供するならやわらかい部位を選ぶとよいでしょう。
牛肉のやわらかい部位6つとそれぞれの特徴を表にまとめてみました。
部位の名前 | 特徴 |
肩ロース | ・肉質がきめ細かく柔らかい食感で霜降りになりやすい ・噛むほど肉の味が出てくる ・薄切りで使うのがよい |
リブロース | ・赤身と脂身のバランスが良くロースの中で最も柔らかい ・適度に上質なサシが入っていて脂に甘味がある ・貴重でサーロインと並ぶ高級な部位 ・リブロースの霜降りの多さで牛肉の等級が決まる |
サーロイン | ・肉質がきめ細かく柔らかい食感で甘い霜降りになりやすい ・ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きに向いている ・ヒレの次に柔らかい部位 |
ヒレ | ・牛肉の部位の中で最も柔らかく脂肪や筋が見られない ・最高クラスの希少な部位(牛1頭の肉のうち3%しかない) ・味は淡泊であっさりとしている ・肉本来の旨味を楽しめる |
ランプ | ・脂身が少ない赤身肉であっさりした味がする ・もも肉の中でも特に柔らかく様々な料理に活用できる ・ステーキ、ローストビーフ、牛たたきに向いている |
うちもも | ・牛肉の中で一番脂身が少なくあっさりしている ・くせがなく食べやすい ・均質な肉のためローストビーフや煮込み料理などに向いている |
部位ごとに適した調理法も異なるので、味や食感を知った上で高齢者の方が食べやすいように手を加えるのが望ましいでしょう。
2、繊維を断ち切り噛みやすくする
介護食として牛肉を提供する場合、飲み込みや噛む力に問題を抱えている場合が多いため、肉の繊維を断ち切って食べやすく調理するのがおすすめです。
具体的には加熱によって肉の筋が収縮してしまうため、加熱前に包丁で切れ目を入れておき、加熱後にあらためて適切な大きさに切ることで食べやすくなります。
またひき肉にする際も、柔らかい部位を選んで二度挽きをするのが望ましいでしょう。
3、カロリーに配慮する
介護食として牛肉を提供する場合、カロリーが高くなりがちなので「脂身」を外したり、量を少なめにしたりといった配慮をすることが求められます。
牛肉の部位別に、「脂身つき」と「赤肉」の100gあたりのカロリーを比較して表にまとめてみました。
部位の名前 | 脂身つき | 赤肉 | 差 |
肩ロース | 380kcal | 293kcal | 87kcal |
リブロース | 514kcal | 395kcal | 119kcal |
サーロイン | 460kcal | 294kcal | 166kcal |
ランプ | 319kcal | 196kcal | 123kcal |
うちもも | 235kcal | 176kcal | 59kcal |
脂身つきと赤肉ではおおむね小鉢1つ分程度のカロリーが異なるのがわかります。
味に影響のないよう配慮しながらも、カロリーを少なめにすることが大切です。
介護食の美味しい牛肉レシピ
介護食として美味しく食べられる、牛肉を使ったレシピを2つご紹介します。
行事食には「すき焼き」
牛肉を使った行事食としておすすめなのが「すき焼き」です。
《材料(1人分)》
・牛肉しゃぶしゃぶ用(40g)
・かぶ(20g)
・かぶの葉(20g)
・木綿豆腐(1/5丁)
・醤油(小さじ2)
・砂糖(小さじ1)
・酒(小さじ1)
・水(1/4カップ)
・片栗粉(適量)
・重曹(0.25g)
《作り方》
- 肉を2㎝角に切り、片栗粉をまぶす
- 木綿豆腐は1.5cm角に切る
- かぶは皮をむき、3等分のくし切りにして面取りを行う
- 水をなべに入れて熱し、沸騰したら重曹とかぶを入れやわらかくなるまでゆでる
- かぶの葉もやわらかくなるまでゆでる
- なべに醤油、砂糖、酒、水を入れて中火で煮立て、木綿豆腐を加える
- 煮立ったら片栗粉をまぶした肉をほぐしながら入れ煮汁をかけながら煮て火を通す
- かぶを入れて一煮立ちしたら盛り付けて完成
具材を小さめに切っているのと煮ると柔らかくなるかぶを使っているため、介護食として食べやすいでしょう。
普段のおかずには「肉じゃが」
普段のおかずとしても人気の高い「肉じゃが」ですが、介護食として手軽に作れるようワンパンレシピでご紹介します。
《材料(1人分)》
・牛肉こま切れ(70g)
・糸こんにゃく(10g)
・にんじん(1/4本)
・玉ねぎ(1/4個)
・じゃがいも(1個)
・ピーマン(1/2個)
・醤油(小さじ2)
・だし(小さじ1/2)
・みりん(小さじ1/2)
・酒(小さじ1/2)
・きび砂糖(小さじ1)
・水(350ml)
・ごま油(適量)
《作り方》
- 材料を全て小さめにカットする
- 大きめのフライパンに火を通しごま油をひいて全ての具材を炒める
- 醤油、だし、みりん、酒、きび砂糖と水を入れてキッチンペーパーなどで落し蓋をする
- 中火で10分ほど煮込んで完成
ワンパンレシピのため難しい手順が必要なく、時間も節約できるのがうれしいメリットだと言えるでしょう。
宅配クック123のお弁当で人気の牛肉メニューは?
介護食としてフレイル予防に役立ち、さまざまなアレンジレシピがある牛肉は、宅配クック123でも人気があるメニューの1つです。
一番人気はクックパッドでも33種類のレシピが検索できる「牛肉の甘辛焼き」ですが、作り方が意外とシンプルで家庭内で作った場合は冷凍保存も可能なメニューのため、介護食としてとても人気が高いのも頷けます。
2021年12月は昼のおかずで12日に「和風おろしソースハンバーグ」、16日に「ハッシュドビーフ」、26日に「肉じゃが」、夕食のおかずで13日に「牛肉の柳川風」、19日に「牛肉の甘辛焼き」、24日に「宮崎牛ハンバーグ・デミグラスソース」とバリエーション豊かな牛肉メニューが予定されているため、楽しみにしている高齢者の方も多いのではないでしょうか。
手間をかけずに介護食として牛肉を取り入れたいなら、ぜひ宅配クック123にお声がけください。
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まとめ
介護食として牛肉はフレイルやうつ病、風邪予防のために役立つ栄養素を豊富に含み、アレンジできるレシピが多いため、行事食としても普段のおかずとしても使い勝手の良い食材であることがわかりました。
この記事も参考にして、ぜひさまざまな介護食メニューに牛肉を取り入れてみてください。