高齢者向けのさまざまなケアに携わる中で認知症サポーターという言葉を耳にすることはあるけれど、詳細まではよく知らないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では認知症サポーターの役割から活動内容まで詳しくご紹介します。

認知症サポーターとは?

認知症サポーターとは、認知症サポーター養成講座を受講して認知症の正しい知識や理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲でサポートする活動に取り組むボランティアを指し、2021年12月31日現在、養成された認知症サポーターの人数は13,644,927人となっています。

2020年までは認知症サポーターの証としてオレンジリングが全国一律で配布されていましたが、2021年4月以降は認知症サポーターカードオレンジリングが併用されるようになりました。

認知症サポーターに期待されることは次の5つです。

  1. 認知症に対して正しく理解し、偏見を持たない
  2. 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る
  3. 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する
  4. 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークを作る
  5. まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する

2018年に地域ケア政策ネットワークが行ったアンケート結果によると、認知症サポーターが具体的に行った主な活動は次のようなものでした。

  • オレンジカフェの開催または参加(63.7%)
  • 見守り(45.6%)
  • 傾聴(28.2%)
  • 「認知症サポーター養成講座」の開催協力(28.2%)
  • 認知症の人やその家族を対象とするサロンの開催または参加(22.0%)

見守りや傾聴など、仕事でケアに携わる人がなかなか時間をかけて行いにくいことを認知症サポーターが積極的に行っているのがわかります。

参考:厚生労働省「認知症サポーター」
参考:認知症サポーターキャラバン「認知症サポーターの活動」
参考:認知症サポーターキャラバン「サポーターの養成状況」

認知症サポーター養成講座について

認知症サポーター養成講座とは、都道府県・市町村などの地方自治体および全国規模の職域団体が主催しキャラバン・メイトが講師を務める、認知症サポーターを養成するための講座です。

介護サービス事業者が認知症サポーター養成講座を主催することはできず、介護サービス事業者が従業員に対して行う研修を認知症サポーター養成講座と位置付けることもできません。

認知症サポーター養成講座は誰でも受講できて費用は無料、所要時間はおおむね1時間30分程度ですが、カリキュラムにおいては認知症の中核症状から診断・治療、患者の方と接する際の心構えまで幅広く学ぶことが可能です。

テキストは次の3種類が主に用いられますが、地域や対象者に応じてテキストの内容に即した教材や資料を柔軟に活用してもよいこととされています。

  • 認知症サポーター養成講座標準教材「認知症を学び地域で支えよう」
  • 認知症サポーター養成講座小学生副読本
  • 認知症サポーター養成講座中学生副読本

認知症サポーター養成講座を受講し、地域でボランティアとして活動したい人は最寄りの自治体事務局へと相談してみましょう。

キャラバン・メイトとは?

認知症サポーター養成講座の講師を務めるキャラバン・メイトとはどのような人たちを指すのでしょうか。

キャラバン・メイトとは、認知症サポーター養成講座を企画・開催し講師を務める人たちのことです。

認知症サポーター養成講座の開催をきっかけに、住民からの相談や関係機関との調整を行い、地域でボランティアのリーダーとして活躍することが期待されるでしょう。

キャラバン・メイトになるには、地方自治体または企業・職域団体が実施する無料のキャラバン・メイト養成研修を受講する必要があります。

キャラバン・メイト養成研修は、次の要件を満たし、年間10回(最低3回)を目安にボランティアで認知症サポーター養成講座を開催できる人でなければ受講できません。

  • 認知症介護指導者養成研修修了者
  • 認知症介護実践リーダー研修(認知症介護実務者研修専門課程)修了者
  • 介護相談員
  • 認知症の人を対象とする家族の会
  • 上記に準ずると自治体等が認めた者
    1. 行政職員(保健師、一般職など)
    2. 地域包括支援センター職員
    3. 介護従事者(ケアマネジャー、施設職員、在宅介護支援センター職員など)
    4. 医療従事者(医師、看護師など)
    5. 民生児童委員
    6. その他(ボランティアなど)

またキャラバン・メイト養成研修のカリキュラムは、地方自治体が主催する場合と企業・職域団体が主催する場合で内容が少し異なります。

地方自治体が主催するキャラバン・メイト養成研修では認知症サポーター養成講座の運営方法を学ぶのにグループワークも含めて合計200分程度の時間を割きますが、企業・職域団体が主催するキャラバン・メイト養成研修ではロールプレイングも含めた現場対応を学ぶのに時間を割くのです。

キャラバン・メイト養成研修終了後、認知症サポーター養成講座を継続的に年間3回実施する人は、キャラバン・メイトとして全国キャラバン・メイト連絡協議会に研修開催者を通じて登録されます。

参考:認知症サポーターキャラバン「認知症サポーターキャラバンとは」
参考:認知症サポーターキャラバン「キャラバン・メイト養成研修について」

認知症サポーターができること

認知症サポーター養成講座を受講すると、具体的にどのような活動ができるようになるのでしょうか。

認知症サポーターは何か特別なことをする人という位置づけではないため、まずは認知症について正しい知識を持ち、偏見を持たずに認知症の人やその家族を見守ることから始めるのが望ましいでしょう。

具体的な支援を行うことはできなくても、地域や職場、家庭において認知症の人がいれば挨拶をすることからコミュニケーションが取れますし、何か困ったことがあれば声をかけてくださいと認知症の人の家族に伝えておくだけでも、自分が認知症について理解があると示すことができます。

認知症の人を地域で支えるには、医療・福祉などのケアを行う人や家族の力だけでは難しいことも出てくるでしょう。

そのような際にボランティアとしてできる範囲で協力するのが、認知症サポーターの役割です。

認知症サポーターの活動事例を知りたい時は?

認知症サポーターとして活動したいけれど、活動内容のアイデアが浮かばないので何か事例があれば参考にしたいと思う人は意外とたくさんいるのではないでしょうか。

そのような際に目を通してほしいのが認知症サポーターキャラバンの「報告会・活動報告」のページです。

このページではその年度において地方自治体、企業・職域団体において優秀な取り組みを行い表彰された認知症サポーターの活動内容が数多く記載されているため、自分だけでは考えつかないアイデアを学ぶことができるでしょう。

ご当地アイドルが認知症サポーターになってPRを行った事例、行政、企業、地域が一体となって行方不明者ゼロのまちづくりを目指して横断的に活動を行った事例など、個性的な取り組みもあるため認知症サポーターの活動事例を知りたい際は、一度目を通しておくことをおすすめします。

参考:認知症サポーターキャラバン「報告会・活動報告」

認知症サポーターのこれから

厚生労働省では、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、認知症の人の意思が尊重されできる限り住み慣れた地域の環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指し、新たに「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)を関係府省庁と共同で策定しました。

新オレンジプランでは以下の7つの柱に沿った施策を推進することとなっています。

  1. 普及・啓発
  2. 医療・介護等
  3. 若年性認知症
  4. 介護者支援
  5. 認知症など高齢者にやさしいまちづくり
  6. 研究開発
  7. 認知症の人やご家族の視点の重視

認知症サポーターの養成については7つの柱のうち「普及・啓発」における施策の1つとして、2017年末には800万人だった認知症サポーターを2020年末までに1200万人とするという目標が掲げられたのです。

2020年末の認知症サポーター数は累計12,849,103人だったため、この目標は見事達成されました。

また今後は認知症サポーターを増やしていくだけではなく、できる範囲で手助けをする任意でのボランティアという形は踏まえつつも養成された認知症サポーターが認知症の高齢者にやさしい地域づくりを加速するため、様々な場面で活躍してもらえるようにすることに重点を置くことが決まっています。

参考:厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」
参考:認知症サポーターキャラバン「サポーターの養成状況」

宅配クック123では「認知症サポーター講座」を積極的に受講しています

宅配クック123はお客様の向こう三軒両隣の、ちょっとお節介なお弁当屋さんです。

宅配クック123では、「宅配クック123の想い」として3つのお節介をホームページに掲げていますが、認知症サポーター養成講座を積極的に受講するのもお節介の1つです。

認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らしたいという想いは誰でも持っていて良いものですし、配食サービス事業者として認知症の方にも定期的にお弁当をお届けするからこそ、その想いをかなえるお手伝いが少しできるのではないかと感じています。

私たちのお節介がどのようなものなのかを、ちょっとのぞいてみませんか。


宅配クック123資料請求ページ

参考:宅配クック123公式ホームページ「宅配クック123の想い」

まとめ

認知症サポーターとは認知症サポーター養成講座を受講して認知症の正しい知識や理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲でサポートする活動に取り組むボランティアを指しますが、今後も認知症の方にもやさしいまちづくりをするため、更なる活躍が期待されているとわかりました。

この記事も参考にして、ぜひ認知症サポーターに対して理解を深めてみてください。