介護においては家事援助を行っている時でも見守りが大切だとよく言われるけれど、家庭内では具体的にどのようなことに気を付ければよいのかよくわからない人も多いでしょう。

この記事では介護における見守りの定義から、行う際のポイントまで詳しく解説します。

介護における見守りの定義とは?

2018年に東京都保健福祉局が発行した「高齢者等の見守りガイドブック(第3版)」によると、見守とは私たちが日頃顔を合わせている家族や近隣の人々、学校や職場などの仲間や友人に対してその様子を気遣ったり声をかけたりすることと定義づけられています。

見守りの対象者が介護を必要とする高齢者に限定されていないのは、現在の世の中では見守りを必要とする人が子供、障害のある人、生活困窮者、それらの人たちを支える家族などに広がってきているためです。

介護における見守りの定義を知る前に、見守りは介護の現場だけで使われる言葉ではなくなってきつつあることを理解しましょう。

「高齢者等の見守りガイドブック(第3版)」では見守りの方法は3種類あるとされているため、表にまとめてみました。

見守りの方法概要
緩やかな見守り地域の住民や民間の事業者が日常生活や業務の中でいつもと違う、何かおかしいと感じる人がいれば専門機関に相談するなど地域で緩やかに行う見守り
担当による見守り定期的な安否確認や声がけが必要な人に対して民生委員、児童委員、老人クラブ、住民のボランティアが訪問するなど担当を決めて定期的に行う見守り
専門的な見守り認知症や虐待など対応が困難なケースに対して、地域包括支援センターや高齢者見守り相談窓口などの専門機関の職員が専門知識や技術を持って行う見守り

この中で高齢者の家族が行う見守りは「緩やかな見守り」、介護の現場でケアに携わる人たちが行う見守りは「専門的な見守り」に分類されるためそれぞれ少し詳しく解説します。

緩やかな見守りは地域での幅広い気づきを目的としており、お互いがお互いをさりげなく気にかけあって何かあれば専門機関へ相談する流れのため、誰もが自然な形で普段から行っている見守りとも言えるでしょう。

また専門的な見守りとは対応拒否、家族による虐待、認知症など一人で解決するのが困難な課題を抱えた人に対して専門知識を活かして行う見守りです。

実際の生活においては、見守りが必要な人に対してこれらの方法がさまざまな組み合わせで行われます。

参考:東京都保健福祉局「高齢者等の見守りガイドブック(第3版)」

介護における見守りの目的

介護における見守りの目的とはどのようなものなのでしょうか。

3つご紹介します。

事故の防止

高齢者は加齢により身体能力や判断能力が低下しているため、転倒・転落・誤嚥などのリスクが高くなります。

このような事故を未然に防ぐためには見守りが欠かせません。

本人の普段の行動を観察し、事故を起こしそうな場面になったらすぐに対処できるようにしておくことが重要です。

急変時の対応

高齢者は基礎疾患の有無に関わらず、体調が急変する可能性が高いと言えます。

また自分では体調の異変を訴えることのできない人、体調が急変していても誰かに迷惑をかけたくないという気持ちから、それを周囲の人に伝えることができない人などもいるため、このような場合は特に注意して見守りを行う必要があるでしょう。

高齢者の能力を引き出す

高齢者におけるADL(日常生活動作)は、基礎疾患やけがなどで一時的に低下が見られても、リハビリや見守りを小まめにしてできないことのみを援助することで、ある程度回復させることができるのをご存知でしょうか。

例えばある介護施設での取り組みでは、見守りがあるという安全な環境の中で少しずつ活動量を増やしてもらうことと、リハビリの内容を本人の身体の動きに合わせて少しずつ変えていくことで、リクライニング式の車いすでなければ移動が難しかった90代の女性が立って歩けるまでになった事例もあるのです。

高齢であるからとあきらめてしまわず、自立を目指して寄り添った見守りを続けることで、結果的に高齢者本人のQOL(生活の質)を向上させることにつながります。

介護における見守りのポイント

介護における見守りは、どのようなポイントに気を付けて行うのがよいのでしょうか。

5つご紹介します。

高齢者の安全を確保するよう見守る

前項でもご紹介した通り高齢者は転倒・転落・誤嚥などの事故を起こしやすいため、介護の現場においてはまず安全を確保するよう見守りをすることが最優先です。

安全を確保するように意識しながら見守りを行うことで、高齢者が事故を起こしそうな行動を取った際にもすぐに対処することができるでしょう。

食事の際高齢者の噛む力・飲み込む力を把握する

2020年に厚生労働省が行った人口動態調査によると、誤嚥性肺炎による死亡は死亡総数のうち3.1%を占め、全死因中6番目に多いことがわかりました。

このことから介護による見守りにおいては、高齢者が食事をする時の噛む力、飲み込む力を把握し、誤嚥を引き起こさないよう配慮するのが重要だと言えるでしょう。

食事を取っている時は静かなため目を離してしまいがちになりますが、噛まずに飲み込んではいないか、早食いをしていないか、一品食いをしていないかなど意外と確認しておいた方がよいことはたくさんあるため、観察を怠らないようにしましょう。

参考:令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況

薬の飲みすぎと飲み忘れに注意する

薬の作用は個人差があるため、医師の処方に従って決まった時間に指定の量を服薬するのが大原則です。

しかし高齢者においては薬に対する知識の違いや思い込みなどにより、処方薬を家族で分け合って服用してしまったり、飲み合わせの良くない市販薬と勝手に組み合わせて飲んでしまったりといった行為を悪気なくしてしまう場合があります。

このような場合薬の副作用や効きすぎなどによる体調急変の可能性があるため、薬の飲みすぎや飲み忘れはもちろんですが、医師の指示にない飲み方をしていないかを常にチェックしておくことが重要です。

高齢者の排泄の状態をチェックする

介護における見守りでは、高齢者の排泄の状態を確認するのも大切なことです。

トイレに行く回数だけをチェックするのではなく、便秘や下痢を起こしていないか、夜中に何度もトイレに起きてはいないかなどをなるべく詳細に把握するのが望ましいでしょう。

高齢者の行動パターンからニーズを予測する

見守りをする際、高齢者の行動パターンからどのようなニーズがあるのかを予測することも大切です。

高齢者の中にはしてほしいことがあっても遠慮やちょっとした気後れから、自分から言い出すことができない人もいます。

このような場合普段の生活時間や身体の状態からどのようなサポートをしてほしいのかを予測し、自分から声をかけてみるのが望ましいでしょう。

介護において見守りをする際の注意点

介護において見守りをする際は、どのようなことに気を付けて行うのがよいのかをご紹介します。

監視をしない

介護における見守りは、監視とは異なるものです。

見守りは事故の防止、急変時の対応、高齢者の能力を引き出すなどQOL(生活の質)の向上を目的としていますが、監視はその目的とは関係のない個人のプライバシーへの侵害や行動制限になります。

具体的には次のような行為は監視だと言えます。
・高齢者を見つめ続ける
・高齢者に対し必要以上に声がけをする
・用事がないのに高齢者のパーソナルスペースに入り込む
・高齢者の行く先々に付きまとう

パーソナルスペースとは他人に近づかれると不快に感じる空間のことで、女性より男性の方が一般的に広いとされ、親密な相手ほど狭くなり、敵視している相手に対しては広くなるのです。

高齢者が自分を見られることで安心を得られるならそれは見守りとなり、不安や不快感があるならそれは監視となるため区別が難しい面もありますが、例え安心や安全を確保するのを目的としていても何をしてもよいということにはならないことはしっかりと覚えておきましょう。

行き過ぎた見守りを監視と受け取られてしまえば、それまで築いてきた高齢者との信頼関係が一気に崩れてしまいます。

このようなことにならないためにも、介護における見守りと監視の違いを普段から意識しておくことが重要です。

宅配クック123は見守りを大切にしています

宅配クック123では、「今日もお客様に会いに行こう」という気持ちで日々お弁当を配達に出かけています。

これは高齢者の皆さまと家族にはなれなくても、「向こう三軒両隣」の精神から来る良いお隣さんでありたいと考えているためです。

お弁当は手渡しを原則としているのも、チャイムを鳴らしたら出てきてもらえるまで待つのも、暖かな気持ちでちょっとお節介な「見守り」をしたいという想いからくるものだと言えるでしょう。

それが結果的に安否確認となり、高齢者の方の家族にも喜んでもらえるならこれほどうれしいことはありません。

宅配クック123の配達員は、高齢者の方に足を運ぶたびに感謝の言葉、笑顔などお金には代えられないものをたくさんいただいているのです。

この暖かい関係をもっと広げていきたい、そんな風に考えながら宅配クック123の配達員は今日もお弁当をお届けに伺っています。

宅配クック123資料請求ページ

まとめ

介護における見守りとは、事故の防止、急変時の対応、高齢者の能力を引き出すことを目的とし、安全確保、嚥下状態、服薬の状態、排泄の状態、個人におけるニーズなどを意識しながら行うことが望ましいとわかりました。

また行き過ぎた見守りで、高齢者に監視だと感じさせるような行為をするのは慎みましょう。

この記事も参考にして、ぜひ適切な形で見守りを行ってみてください。