高齢者の家族に食事を出しても食べにくそうにしているので、何か役に立つ福祉用具を使いたいけれど、どのように探したらよいのかよくわからないと悩んでいる人はいませんか?
この記事では福祉用具の定義から、食事に役立つ福祉用具にはどのようなものがあるのかまで詳しく解説します。
福祉用具とは?
介護保険における福祉用具とは、要介護者の自立した日常生活を助けたり、要介護者の身体の機能回復訓練をしたりするために使用する用具のことを指します。
福祉用具は貸与されるものと、販売されるものの2種類があるため、それぞれを表にまとめてみました。
貸与される福祉用具 | 販売される福祉用具(特定福祉用具) |
・車いす(付属品を含む) ・特殊寝台(付属品を含む) ・床ずれ防止用具 ・体位変換器 ・手すり ・スロープ ・歩行器 ・歩行補助つえ ・認知症老人徘徊感知機器 ・移動用リフト(つり具の部分を除く) ・自動排泄処理装置 | ・腰掛便座 ・自動排泄処理装置の交換可能部 ・入浴補助用具 ・簡易浴槽 ・移動用リフトのつり具の部分 |
福祉用具を利用する際に気になるのはどのくらいの費用がかかるのかということかもしれませんが、2018年度の介護報酬改定に伴い、全国平均貸与価格の公表と貸与価格の上限設定が行われるようになりました。
全国平均貸与価格と貸与価格の上限は、商品名、型番とともに一覧表にされ、厚生労働省のホームページから確認できるので、ケアマネージャーから勧められた商品をそのまま使用するのではなく、一度相場価格を確認した方が納得感を持って福祉用具を借りられるのではないでしょうか。
福祉用具の貸与の利用者負担は通常1割ですが、一定以上の所得者の場合は2割または3割負担となります。
また介護保険においては要介護度別に1か月間の支給限度額が決まっているため、他の介護サービスにかかる費用を含めて予算を考えるのが望ましいでしょう。
販売の場合の限度額は毎年4月1日~翌年の3月31日までの間で10万円となり、同じく所得に応じて1割から3割までの利用者負担をする必要があります。
参考:厚生労働省「福祉用具」
福祉用具専門相談員とは?
福祉用具専門相談員とは福祉用具の貸与・販売サービスを行う会社に勤務し、要介護者が自宅で安全に生活することができるよう、適切な福祉機器の選定や使い方について専門知識を活かしてアドバイスをすることのできる資格です。
福祉用具を使いたい場合、まず担当のケアマネージャーに相談をして福祉用具の貸与・販売サービスを行っている会社の選定をしますが、選ばれた会社の福祉用具専門相談員は「福祉用具貸与・販売計画」を要介護者とケアマネージャーの双方に送付します。
福祉用具貸与・販売計画とは要介護者の自立を促し介護をする人の負担を軽減するため、要介護者の状態に応じた適切な福祉用具の選定をするために作られ、次のようなことが記載されます。
- 要介護者の希望、心身の状況およびその置かれている環境を踏まえた福祉機器の利用目標
- 利用目標を達成するための具体的なサービス内容
- 福祉用具の機種とそれを選定した理由
- 関係者で共有する情報(福祉用具利用時の注意事項等)
また、福祉用具専門相談員は要介護者が福祉用具を利用し始めた後も、福祉用具が福祉用具貸与・販売計画に基づいて適切に使うことができるよう次のようなことを含むモニタリング・メンテナンスを行います。
- 貸与する福祉用具の機能・安全性・衛生状態などに関する点検
- 要介護者の身体状況に応じた福祉用具の調整
- 福祉用具の使用状況の確認、指導、修理
- 計画の実施状況の把握および必要に応じた計画変更
介護保険を利用するにあたって要介護者の相談相手としてケアマネージャーが位置づけられていますが、福祉用具専門相談員はその中でも福祉用具の専門家として知識を活かし、要介護者における福祉用具の適切な利用をサポートする存在だと言えるでしょう。
参考:厚生労働省職業情報提供サイトJobtag「福祉用具専門相談員」
参考:厚生労働省「介護保険制度における福祉用具貸与・販売の概要」
食事の時に使う福祉用具の種類と選び方
要介護者が食事をする際には、まず住宅の中で食事をする部屋へと移動し、誤嚥などを予防するために正しい姿勢を保持してから自分で食べるか食事介助を受けるという一連の動作が必要となりますが、これらの動作をサポートする福祉用具が車いす・歩行器・歩行補助つえです。
これら3つの福祉用具について、どのような種類があるのかとそれぞれの選び方について見ていきましょう・
車いす
福祉用具というとまず思い浮かべるのが車いすだという人も多いかもしれませんが、車いすは要介護者の身体の状態に合わせて、さまざまな種類から選ぶことができます。
おおまかな車いすの種類とその概要を表にまとめてみました。
車いすの種類 | 概要 |
自走式車いす | タイヤの外側についているハンドリム(操作輪)を使い自分で動かせる車いす |
介助式車いす | 介護者が押して動かす車いすで自走式と比較して後輪タイヤが小さく軽量 |
モジュール車いす | 要介護者の体型や身体状況に合わせて座面の高さや座幅などの各パーツを調整できるタイプの車いす(自走式・介助式両方あり) |
ティルト・リクライニング車いす | 背もたれと座面が連動して角度を調整するティルト機能や、背もたれが倒れ角度を変えられるリクライニング機能がついた車いす(自走式・介助式両方あり) |
電動車いす | 電動モーターによって動く車いすで重量がかなり重い |
車いすの種類を踏まえた、自分に合った車いすを選ぶためのポイントを3つご紹介します。
① 自力で操作ができるかどうか
自力で操作ができる人は、自走式車いすや電動車いすを選ぶとよいでしょう。
移動が自分の意志でできるため、生活の自立にもつながります。
自走式車いすは操作方法を確認し、ある程度練習すると乗りこなせるようになりますが、電動車いすはバッテリーの管理から運転方法まで要介護者自身が覚えなければならないことがあるため、電動車いす安全普及協会の「電動車いす安全利用の手引き」などに目を通し、身体の状態と合わせて使うかどうかを検討するのが望ましいでしょう。
また自力で操作ができない人は、介助式車いすを選ぶとよいでしょう。
② 座った姿勢(座位)を維持できるかどうか
座った姿勢(座位)を維持できない人は、ティルト・リクライニング式車いすを選び、安定した姿勢を保てるようにするのがよいでしょう。
座った姿勢を維持できない人がティルト・リクライニング式車いす以外の車いすを使うと、車いすから落下してしまう危険性があるためあまりおすすめできません。
また長時間車いすに座っていると傾眠などにより姿勢を正しく保てず、結果的に落下してしまう人もいるので、座った姿勢が本当に維持できるかどうかは慎重な見極めが必要です。
③ どのような環境で使用するか
屋内・屋外などどのような環境で車いすを使用するのかによっても選び方は異なってきます。
例えば屋内では移動距離が短いので自走式車いすが良いけれど、外出先では移動距離が長く疲れてしまうので電動車いすの方が良いなど、どこで使用するかによって必要な車いすは変化すると言えるでしょう。
要介護者の生活環境を踏まえた車いす選びをすることが大切です。
歩行器
歩行器とは加齢による筋力や体力の低下で長距離の歩行が難しくなった人の歩行をサポートするのを目的に作られた福祉用具です。
歩行器を使用すると両腕で体重を支えられるため、足にかかる負担を軽減できるでしょう。
福祉用具として用いられる歩行器の種類と使用に向くのはそれぞれどのような人かを表にまとめてみました。
歩行器の種類 | 概要 | 使用に向く人 |
固定式歩行器 | 身体の前面と左右の側面をコの字型のフレームで囲む四脚の歩行器で足に滑り止めのゴムキャップが装着されている | ・上半身にある程度筋力がある ・足に痛みがあり筋力が弱い ・杖では歩行が不安定 |
交互型歩行器 | 固定式歩行器の左右側面のフレームをそれぞれ動かすことができる | ・片足に痛みがある ・姿勢のバランスが取りにくい |
キャスターつき歩行器 | 四脚にそれぞれキャスターが装着され上半身にかかる負荷を軽減できる | ・筋力が低下している ・足腰に痛みがある ・リハビリを始めたばかりである |
歩行器は上記の表のような身体の状態だけではなく、要介護者が歩行器を使用する環境や体格・身長にも合わせて選ぶことが大切です。
歩行補助つえ
歩行補助つえとは加齢による足腰の衰えや麻痺などによって歩行が不安定になった人のサポートをするための福祉用具です。
福祉用具として用いられる歩行補助つえの種類と使用に向くのがどのような人かを表にまとめてみました。
歩行補助つえの種類 | 概要 | 使用に向く人 |
T字杖(1本杖) | シャフト(棒)にT字型のグリップがついた形のつえ | ・歩行補助つえの使用が初めての人 ・つえがなくても自力で歩ける人 |
ロフストランド杖 | 前腕を支えるカフと体重を支えるグリップがあるつえ | ・グリップを握る力が弱い人 ・アクティブな人 |
松葉杖 | 脇にはさむ脇当てとグリップがついている安定性の高いつえ | ・骨折や捻挫など足をけがした人 ・下半身の麻痺がある人 ・股関節症の人 |
多脚杖 | 地面と接する先端が3~4点に分かれた安定性の高いつえ | ・筋力が低下している人 ・姿勢が良くない人 ・背骨が曲がっている人 |
歩行補助つえは上記の身体の状態だけではなく、杖の重量、グリップの握りやすさ、身長、つえを使用する環境にも合わせて選ぶことが大切です。
食事の時に使う介護用品の選び方
要介護者が自宅で食卓へと移動した後は、食事の時に使いやすい食器やカトラリーがあると便利でしょう。
これらは介護保険上の福祉用具には含まれず一般の介護用品となりますが、福祉用具の貸与・販売サービスを行っている会社が情報提供や販売をしている場合があります。
このような会社の福祉用具専門相談員が信頼できる場合、食事に使う介護用品についてもまとめて相談するという方法もあるので、興味のある人は介護用品も同時に取扱いのある会社について調べておきましょう。
参考:1963年創業ヤマシタの福祉用具・介護用品紹介サイト「ヤマシタ、シマシタ。」
宅配クック123ではお弁当の「容器」にもこだわっています
宅配クック123のお弁当の容器は、歩行が不安定な要介護者でも上手く持ち運びができるよう、軽さを重視して作られているのをご存知でしょうか。
それだけではなく、容器の形はスプーンですくいやすい形状とし、お箸を使えない人でもおかずを全部食べられるようにしたり、ふたはリウマチなどで手が動かしにくい人でも開けやすいようにしたりと工夫を重ねています。
お弁当の容器は、使い捨てなのでそこまでこだわらなくても良いと感じる人もいるかもしれません。
しかし宅配クック123では、介護用品の食器と同じように要介護者の方に少しでも便利にお弁当の容器を使ってほしいという気持ちから、このような取り組みを続けているのです。
宅配クック123では今日も要介護者の方の暮らしやすさを食事の面から支えるべく、暖かなお弁当をお届けしています。
まとめ
介護保険における福祉用具とは、要介護者の自立した日常生活を助けたり、要介護者の身体の機能回復訓練をしたりするために使用する用具のことを指し、食事の際に使うことのできる福祉用具は車いす・歩行器・歩行補助つえの3つです。
この記事も参考にぜひ福祉用具への知識を深め、要介護者の方が食事をしやすい環境を整えてみてください。