介護の現場で働いているのでできるだけ高齢者の方々と良い関係を作っていきたいけれど、集団の前で話すきっかけ作りが苦手でコミュニケーションがうまく取れないと悩んでいる人はいませんか?

この記事では集団の雰囲気作りに役立つアイスブレイクについて詳しくご紹介します。

アイスブレイクとは?

アイスブレイクとは緊張して氷(ice)のように固くなった心を壊す(break)、溶かすという意味で、人が集まった時の緊張感をほぐして心のバリアを取り除き、和やかな雰囲気を作り出すための手法です。

アイスブレイクがよく使われる場所は次の通りです。

  • 授業、講義、学級活動、ホームルーム、オリエンテーション、体験学習、保護者会などの教育の場
  • 会議、研修、ミーティングなどのビジネスの場
  • 市民講座、ワークショップ、地域の集まり、町内会、子育て支援活動などの市民活動の場
  • 歓迎会、懇親会、飲み会などの懇親の場

アイスブレイクはこれらを行う前に数分~数十分程度の短時間で行われる場合が多いでしょう。

アイスブレイクは初対面の人の間だけで用いられる手法ではないため、集団の関係性によって内容を柔軟に変えていくことが大切です。

参考:一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会監修「レクリエーション介護士2級公式テキスト」

アイスブレイクをする目的

アイスブレイクはそもそもどのようなことを目的に行うのでしょうか。

5つご紹介します。

緊張を和らげる

初めて会った人同士での集団はもちろん、何度か会ったことがある人の集団であっても人が集まって何かをしようとする前には緊張を感じている人の方が多いでしょう。

アイスブレイクは集団に参加する人の身体と心の緊張を和らげるのを目的として行われます。

お互いに対する理解を深める

集団に対して質問を投げかける形のアイスブレイクでは、その質問に回答することでお互いに対する理解を深めることができます。

例えば「皆さんは何座ですか?周りの人に聴いて、同じ星座の人同士でグループを作ってみてください」と集団に対して投げかけると、一人一人が周囲の人に何座かたずね、また自分の星座を答えることになるため相互理解が深まるでしょう。

チームワークを高める

集団で何か1つの目標を達成する形のアイスブレイクを行うとチームワークを高めることができます。

例えば「今から『日』という漢字をホワイトボードに書くので、1本線を足して別の漢字にしてみてください。たくさん考えられたチームが優勝です」と集団に対して伝えると、チーム内全員で協力してできるだけたくさんの漢字を着想する必要があるので、自然にチームワークが高まるでしょう。

集中力を高める

アイスブレイクを昼休みの後や、座学などが続いて集中力が途切れやすいタイミングで行うと、再度集中力を高めることができます。

例えば「私の声と動作を真似してください。『グー、チョキ、パー』はい!」と集団に声をかけると、「グー、チョキ、パー」と声を出しながら身体も動かすことになるので、眠気が覚め集中できるようになるでしょう。

コミュニケーションを円滑にする

アイスブレイクに簡単なゲームを取り入れることで、親しくない人とも話すきっかけを作ることができるためコミュニケーションが円滑になります。

例えば「今からじゃんけんゲームをし、負けた人は勝った人の後ろに並んで肩に手をかけます。一番多くの人が後ろに並んだ人が優勝です。まずは自分の隣の人とのじゃんけんから始めてください。どうぞ!」と伝えると知らない人ともじゃんけんをし、勝負があることで盛り上がるのでコミュニケーションが円滑になるでしょう。

参考:一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会監修「レクリエーション介護士2級公式テキスト」

アイスブレイクのメリット

アイスブレイクをすることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

心理的安全性が高まる

心理的安全性とはpsychological safetyの日本語訳で、チームの中で他のメンバーが自分の発言を拒絶したり罰したりしないという確信を持てる状態のことを指す心理学の用語です。

アイスブレイクを行うことでチームメンバー同士はお互いへの理解を深め、コミュニケーションが円滑になるため心理的安全性を高めることにつながるのです。

心理的安全性についてもっと知りたい方は、次の記事もごらんください。

共感力を高める

共感力は心理学では「情動的共感」と「認知的共感」の2種類があるとされます。

情動的共感とは実体験に基づく感情的な共感のことで、相手の感情が自分の感情であるかのように感じられます。

一方認知的共感とは実体験に基づかない共感のことで、相手の感情を想像して理解するため認知的・理性的な共感とも言えるでしょう。

この2つはコントロールすることができ、どちらかに偏らずバランスの取れている状態が理想的とされます。

アイスブレイクではチームメンバーを別の観点から見る機会を作るため、2つの共感のうち認知的共感をするヒントをたくさん得ることができます。

新たなコミュニティ形成のきっかけとなる

アイスブレイクは人間関係が深まるのを後押しし、新たなコミュニティを形成するきっかけとなります。

例えば初対面の人で作られた集団であればその緊張をほぐし、顔見知りの集団であれば少しずつ帰属意識(心理学の用語である特定のグループのメンバーとして属しているという意識)を持つように後押しできるので、少しずつ信頼関係が構築され、コミュニティができていくのです。

介護の現場で使えるアイスブレイクの事例

介護の現場でアイスブレイクを使用するのは主にレクリエーションの場面となりますが、具体的なアイスブレイクの事例を、集団の中での関係進化の段階と合わせて5つご紹介します。

初対面の段階

集団が初対面の段階では、まず緊張をほぐし抵抗なくコミュニケーションができるようになることがアイスブレイクの目的となるため、集団に対して次のような呼びかけをしてみましょう。

「皆さんは今椅子や車いすに座っていますが、座ったままの状態で何人の人と握手ができるかやってみてください。どうぞ!」

初対面でも周囲の人に声がけをし、握手をするという行為により自然とコミュニケーションを取ることができるので、緊張がほぐれます。

また握手でスキンシップを図るので、親近感や帰属意識を芽生えさせることもできます。

緊張が解け帰属意識が芽生えている段階

集団内での緊張が解け少しずつ帰属意識が芽生え始めた段階では、コミュニケーションを促進し一人一人がグループの中にいるという意識を高めることがアイスブレイクの目的となるため、集団に対して次のようなことを伝えてみましょう。

「まず皆さん円になって座ってください。そしたら右手で右に座っている人を7回肩たたきしてあげてください。次に左手で左に座っている人を7回肩たたきしましょう。ではこの肩たたきを『うさぎとかめ』のリズムに合わせてやってみます。さん、はい!」

「もしもし亀よ」と声を合わせて全員で歌うことで集団に一体感が生まれ、肩たたきというスキンシップを図ることでお互いの信頼関係を深めることができるでしょう。

集団として一体感が出てきた段階

集団として一体感が出てきた段階では、1つの目標を協力し合って達成できるようになることがアイスブレイクの目的となるため、ゲームを取り入れたアイスブレイクを行ってみましょう。

「5人1組になってグループ対抗ゲームを行います。今からチームごとに異なる色のボールを配るので、制限時間2分以内に真ん中のかごにより多くボールを入れたチームが優勝となります。用意、始め!」

ゲームによってチームメンバー同士が応援したり、声を掛け合ったりする環境が生まれるため、よりチームの一体感が増すでしょう。

集団に対して信頼や結束が出てきた段階

集団に対して信頼や結束が出てきた段階では、よりそれを深めることがアイスブレイクの目的となるため、集団に対して次のように声をかけてみましょう。

「5人1組でチームを作って輪投げリレーをします。チーム内で順番を決め、輪投げをして入ったら次の人にバトンタッチし、制限時間2分の間にたくさん入ったチームが優勝です。それでは用意、始め!」

勝負という盛り上がる要素と優勝という目標に向かって協力が必要となるため、よりコミュニケーションが深まります。

集団の中で地位や役割が出てきた段階

集団の中で地位や役割が出てきた段階では、メンバー同士の得意、不得意を理解しそれを助け合いながら解決できるようになるのがアイスブレイクの目的となるため、集団に次のような声がけをしてみましょう。

「5人1組に分かれてください。今から昔話のタイトルを書いた紙をあるグループにだけお見せしますので、指名されたグループは役を決めてその昔話をジェスチャーで表現し、他のグループの人はそれを見て何の昔話か当ててください。最初のテーマはこちらです」

グループ内で一定の話し合いと役割分担が必要となるため、自然に助け合いが生まれ、チームの結束につながっていきます。

参考:一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会監修「レクリエーション介護士2級公式テキスト」

宅配クック123では「ただ会いに行こう」という想いを大切にしています

宅配クック123がお客さまにお目にかかれるのはほんのわずかな時間です。

もちろんその間にアイスブレイクをして楽しい時間を共有することはできませんし、たくさんのお話をお聴きすことも難しいでしょう。

しかし、だからこそ「ただ毎日、お客様に会いに行く」ことを大切にしているのです。

最初のうちお客様の心がもし氷のように固かったとしても、定期的にお会いすることでいつかそれを壊したり、溶かしたりできるかもしれません。

宅配クック123では、そんな想いを秘めて今日もお客様の元へと足を運んでいます。

宅配クック123資料請求ページ

参考:宅配クック123公式ホームページ「宅配クック123の想い」

まとめ

アイスブレイクとは人が集まった時の緊張感をほぐして心のバリアを取り除き、和やかな雰囲気を作り出すための手法で、介護の現場においてはレクリエーションを通じて心理的安全性が高まり、新たなコミュニティを生むきっかけとなるでしょう。

この記事も参考にして、ぜひ介護の現場でアイスブレイクの手法を活かしてみてください。