高齢者でボランティアをする人が増加していると聞くので、介護予防のためにも家族に勧めてみたいけれど、内容についていまいちよくわからなくて困っている人はいませんか?

この記事では高齢者が行うボランティア活動の現状からおすすめのボランティア活動まで詳しく解説します。

高齢者が行うボランティアの現状

2019年に内閣府が全国の60才以上の男女3,000人を対象に行った「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、現在行っている社会活動について最も多かったのは「自治会、町内会などの自治組織の活動」で21.8%でしたが、次いで多かったのが「趣味やスポーツを通じたボランティア・社会奉仕などの活動」で16.9%だったのです。

「特に活動はしていない」と回答した人が63.3%だった一方で、現在収入のある仕事をしている人が37.3%であることから、高齢者になっても何らかの形で社会における役割を持ちたいと考える人が少なくないため、その中の1つの選択肢としてボランティアが位置づけられていると言えるでしょう。

参考:内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」

国が高齢者にボランティアを推奨する背景

2018年に厚生労働省が発表した「高齢者の生きがいづくりについて」という資料の中では、高齢者が社会参加をして社会的な役割を持ち続けることが生きがいや介護予防につながるとしています。

また高齢者が地域社会の中で役割を持ち、有償ボランティアなどで一定の収入を得ながら自分の生きがいを見出したり、健康作りを行ったりする活動の立ち上げ支援として「高齢者生きがい活動促進事業」として補助金制度も活用できるようになっているのです。

このことから国は高齢者の生きがい作りと、介護予防を推進するためボランティア活動を推奨しているのがわかります。

参考:厚生労働省「高齢者の生きがいづくりについて」

高齢者がボランティアを行うメリット

高齢者がボランティアをすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

生きがいを持てる

2022年に内閣府が発表した「令和4年版 高齢社会白書(全体版)」によると、1年間に社会活動に参加しない人では「生きがいを十分感じている」と回答したのが16.1%でしたが、社会活動に参加した人では30.1%と2倍近く多い結果でした。

このことから高齢者はボランティアに参加することでQOL(生活の質)が高まり、生きがいを感じながら日々の生活を送りやすくなると言えます。

参考:内閣府「令和4年版 高齢社会白書(全体版)」

健康を維持しやすくなる

2020年にアメリカのハーバード公衆衛生大学院が50才以上の1万2,998人を対象に行った「健康と退職に関する調査」の結果によると年間100時間(週2時間程度)のボランティアを行った人はそうでない人と比較して死亡と身体機能制限のリスクが下がることがわかりました。

ハーバード公衆衛生大学院社会・行動科学部のエリック・キム博士は、この結果を人間が本質的に社会的な生き物であるため、利他的な行動をすることで心や身体が健康になると分析しています。

参考:一般社団法人日本生活習慣病予防協会「ボランティア活動に参加すると寿命が延び幸福感も向上 コロナ後の社会整備の鍵に」

地域のコミュニティに参加できる

高齢者はボランティアをすることで地域のコミュニティに参加できるため、自然な形でさまざまな人とのつながりを持つことができるでしょう。

年齢を重ねても新しい人間関係ができることで日常生活に変化が生まれ、自分の居場所や役割を見出しやすくなるのではないでしょうか。

高齢者におすすめのボランティアと探し方

高齢者の社会活動においては、次の3つのことが大切だとされています。

  • 現役時代の能力を活かせる活動であること
  • 高齢者が興味や関心を持てる活動であること
  • 高齢者にとって新たなチャレンジができる活動であること

これらのことを踏まえて高齢者が自分に合ったボランティアを探すには、ボランティアについての相談受付を行っている地域のボランティアセンターで探すのが望ましいでしょう。

地域福祉・ボランティア情報ネットワークのホームページには全国各地のボランティアセンターへのリンクが掲載されているため、まずここから地域のボランティアセンターのホームページに目を通してみることをおすすめします。

また高齢者の人におすすめのボランティア活動を3つご紹介します。

参考:地域福祉・ボランティア情報ネットワーク「全国各地のボランティアセンター」

こども食堂

子供とのふれあいや青少年の育成に興味がある高齢者には、こども食堂でのボランティアがおすすめです。

こども食堂では食事作りのボランティアだけではなく、勉強を教える学習支援ボランティア、体験学習の引率ボランティア、遊びの見守りボランティアなどさまざまな種類のボランティアを募集しているため、自分の特技や社会経験を活かしたボランティアを選ぶことができるでしょう。

活動方針や活動時間、無償から有償までいろいろなこども食堂があるので、希望を整理しておくと自分に合った場所が見つけやすくなります。

盲導犬の活動を支援するボランティア

動物が好きで犬を飼った経験があるなら、盲導犬の活動を支援するボランティアもおすすめです。

例えば公益財団法人日本盲導犬協会では、次のようなボランティアを募集しています。

【飼育系ボランティア】

ボランティアの種類内容
パピーウォーカー・盲導犬候補のパピー(子犬)を生後2か月から1才前後までの約10か月間にわたって、人と一緒に安心して暮らすための関係作りと家庭でのルールを教えるボランティア
引退犬飼育ボランティア・引退した盲導犬を飼育し余生を共に過ごすボランティア
キャリアチェンジ犬飼育ボランティア・身体上、適性などの理由で訓練を行ったものの盲導犬に向かないと判断された犬を飼育するボランティア
繁殖犬飼育ボランティア・盲導犬の資質のある父犬、母犬を飼育するボランティア

【その他のボランティア】

ボランティアの種類内容
ケンネルボランティア・犬舎の掃除、タオルの洗濯、犬の手入れや散歩、排泄や給餌、子犬の世話、盲導犬ユーザーが盲導犬をシャンプーするときの補助などを行うボランティア
イベントボランティア・訓練センターで行う見学会や盲導犬PR活動のイベントでの会場整備や片付け、受付、パンフレット配り、参加者の案内や誘導、募金活動の手伝いをするボランティア
縫製ボランティア・盲導犬が着る服を自宅で作るボランティア

募集のタイミングはボランティアの種類によって異なるので、まずは公益財団法人日本盲導犬協会のホームページで詳細を確認してみましょう。

参考:公益財団法人日本盲導犬協会「ボランティア」

観光ボランティアガイド

身体を動かすのが好きで、町おこしにも興味があるなら観光ボランティアガイドをするのもおすすめです。

観光ボランティアガイドは観光協会などを窓口とし、旅行などで地域を訪問する観光客に対し無料や比較的低額な料金で観光案内やガイドを行っています。

近年有償ボランティア化も進んでいるため、楽しみながらお金も稼ぎたい人には向いているのではないでしょうか。

高齢者が行ったボランティアの事例

高齢者が実際に行ったボランティアにはどのような事例があるのでしょうか。

3つご紹介します。

子育て支援

2022年1月5日の東京新聞に、デイサービスを利用する認知症の高齢者が有償ボランティアとして地域の子育て支援を行う活動の様子が掲載されました。

デイサービスの利用者が地域の学童保育所に50人分の手作りおやつを届けるという活動で、出来立てを届けるため子供たちには喜ばれ、利用者の人たちは認知症の症状が少しずつ落ち着いてきたのです。

認知症の人たちが地域社会の中で役割や生きがいを見つけた好事例だと言えるでしょう。

参考:東京新聞「認知症の高齢者笑顔 地域社会で有償ボランティア活動 自信回復へ取り組み」

介護支援

横浜市では2009年から「よこはまシニアボランティアポイント事業」として高齢者が介護保険施設などでボランティアをした際ポイントが得られ、たまったポイントに応じて寄付や換金ができる仕組みを構築しています。

シニアボランティアに登録するには事前申込制の研修会の受講が必須で、ボランティアポイントがもらえる対象となる施設は2022年4月1日現在559施設あるのです。

1日30分程度の活動で一律200ポイントが付与されますが、2020年には活動をした8,894名のうち476名の人が86万9,600ポイントを寄付しています。

参考:横浜市「よこはまシニアボランティアポイント事業」

地域活性化

鹿児島県鹿屋市串良町柳良集落では108世帯251人の人が生活し高齢化が進んでいますが、行政に頼らない村起こしを目指し、幼児から高齢者まで全員が地域活動に参加することで自主財源を築きました。

稼いだ財源で福祉、環境整備、教育、文化向上、社会貢献などさまざまな活動を行い、「地域経営学」の考えに基づいた地域作りを続けているのです。

参考:やねだん(鹿児島県鹿屋市串良町柳良集落)

宅配クック123では食事で高齢者の方の積極的なボランティア活動を応援します

宅配クック123では食事で高齢者の方々の積極的なボランティア活動を応援したいと思っています。

例えば身体を動かすボランティアに参加したいけれど、疲れて食事の支度ができないと困るので遠慮しているといった場合、1日1食から配達が可能な宅配クック123のお弁当をその日だけ申し込んでもらうことで、希望のボランティアに参加することができるでしょう。

またボランティアで疲れた日はいつもよりボリュームのある食事で元気になりたいという方向けに、健康ボリューム食もご用意しています。

宅配クック123のお弁当を上手に活用して、たくさんの人に喜んでもらえるボランティアにぜひ参加してみてください。

宅配クック123資料請求ページ

まとめ

国は高齢者の生きがい作り介護予防を推進するためボランティア活動を推奨しているため、少しずつそれが社会に浸透し、子育てや介護支援、町起こしまでさまざまな分野で高齢者の知識や経験が活かされるようになりつつあります。

この記事も参考に、ぜひ高齢者のボランティアに対し理解を深めてみてください。