家族に高齢者がいるので、80才になっても自分の歯を20本維持しようという8020運動を意識して口腔ケアを丁寧に行っているけれど、歯周病になると他の病気も合併すると知ってどう予防すればよいのかわからず困っている人はいませんか?
この記事では歯周病とは何かから、知っておきたいアルツハイマー型認知症との関係まで詳しく解説します。
歯周病とは?
歯周病とは細菌に感染することによって歯ぐきが炎症を起こし歯ぐきとそれを支える骨が溶けていく病気です。
健康な人でも口の中には400種類~700種類程度の細菌がありますが、口腔ケアが十分でなかったり、砂糖を過剰に摂取したりすると粘着性が高く落ちにくいかたまりになって歯の表面にくっつきます。
このかたまりをプラーク(歯垢)と呼びますが、1mgあたり約10億個の細菌が住み着くことで細菌の性格が変わってしまい、歯周病の原因となるのです。
主な歯周病菌は次の3種類です。
- アクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンス(A.a菌)
- バクテロイデス・フォーサイサス(B.f菌)
- ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g菌)
歯垢はそのままにしておくと固くなって歯石へと変化し、さらに歯周病を悪化させていきます。
高齢者における歯周病
歯と歯ぐきの間がプラークの細菌で炎症を起こし深くなった溝のことを歯周ポケットと言い、健康な人であれば3mm以内ですが、4~5mmでは初期の歯周病、6mm以上で進行した重度の歯周病と判断されます。
2016年に厚生労働省が行った「平成28年歯科疾患実態調査」では60才以上で歯周ポケットを持つ人の割合は次の通りでした。
4mm以上6mm未満 | 6mm以上 | 合計 | |
60才~64才 | 43.6% | 14.3% | 57.9% |
65才~69才 | 42.3% | 18.2% | 60.5% |
70才~74才 | 40.4% | 13.2% | 53.6% |
75才~79才 | 40.3% | 15.1% | 55.3% |
80才~84才 | 35.6% | 12.2% | 47.7% |
85才~ | 31.6% | 12.5% | 44.1% |
このことから高齢者ではおよそ半数前後の人が歯周病にかかっていることがわかります。
アルツハイマー型認知症とは?
アルツハイマー型認知症とは脳内で作られるたんぱく質のうちの1つであるアミロイドβにより神経細胞が壊されてしまうことで脳が萎縮する病気です。
アルツハイマー型認知症の症状・治療・予防方法についてご紹介します。
アルツハイマー型認知症の症状
アルツハイマー型認知症の主な症状は次の通りです。
症状の種類 | 概要 |
生活機能障がい | 生活機能が損なわれADL(日常生活動作)も低下する |
記憶障がい | 昔の記憶はあるが最近の記憶が損なわれる |
見当識の障がい | 時間や季節、今いる場所、人などがわからなくなる |
判断力の低下 | 物事の判断がつかなくなる |
言語障がい | 語彙が減少し具体的な話ができなくなる |
視空間認知障がい | 対象と自分の関係や空間の中における自分との位置関係の把握が難しくなる |
物盗られ妄想 | 大事なものが盗まれたと訴える |
夜間せん妄 | 夜間急に幻覚や妄想にとらわれる |
徘徊 | 家の中や外を歩き回る |
介護拒否 | 介護をされるのをいやがり拒否する |
遂行機能障がい | 目的を持った行動を計画的に行うことができなくなる |
進行すると知覚や記憶、思考などを司る大脳皮質の機能が失われて失外套症候群 (しつがいとうしょうこうぐん)と呼ばれる状態となり、眼は動かすことはできても身動きができず、言葉が出なくなります。
アルツハイマー型認知症の治療
2022年現在ではアルツハイマー型認知症を完治させる治療法はないため、進行を抑えるための薬物療法、心理療法としての回想法などが行われることが多いでしょう。
アルツハイマー型認知症を早期に発見し、すぐに治療に取り組むと進行を抑えられることを覚えておきましょう。
アルツハイマー型認知症の予防
アルツハイマー型認知症そのものを予防する方法はありませんが、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まるとされる飲酒、喫煙、運動不足、高血圧、睡眠不足などを避け生活習慣の改善に取り組むのが望ましいとされます。
また人と接する機会を多く持ち、コミュニケーションを積極的に図ることでアルツハイマー型認知症のリスクを減らすのもよいでしょう。
高齢者におけるアルツハイマー型認知症
2019年に厚生労働省老健局が発表した「認知症施策の総合的な推進について」によると認知症の主な原因疾患のうちアルツハイマー型認知症の割合は67.6%で1位でした。
このことから国では認知症の正しい知識や理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲でサポートする活動に取り組むボランティアである認知症サポーターの養成や、地域における認知症医療・介護などがスムーズに連携できるよう支援する認知症サポート医などの育成に取り組んでいます。
認知症サポーターについても詳しく知りたい方は、次の記事もごらんください。
参考:厚生労働省老健局「認知症施策の総合的な推進について(参考資料)」
歯周病とアルツハイマー型認知症の関係
2019年にScience Advancesにアメリカの精神科医ステファン・ドミニ―氏や大学院生ケイシー・リンチ氏らによって発表された「アルツハイマー病脳におけるポルフィロモナス・ジンジバリス・疾患因果関係の証拠と小分子阻害剤による治療」によると、アルツハイマー型認知症患者の脊髄分泌液から歯周病菌の1つであるポルフィロモナス・ジンジバリスのDNAが発見されました。
また54人のアルツハイマー型認知症の患者の脳のうち96%からポルフィロモナス・ジンジバリスの生み出す有毒酵素のジンジパインが見つかったのです。
ジンジパインをターゲットとする抗生物質を投与することで、アルツハイマー型認知症で脳の神経細胞を壊すアミロイドβが生まれるのを抑制できることもわかったため、アルツハイマー型認知症のリスクを減らすためには歯周病を予防することが大切だと言えるでしょう。
参考:Science Advances「アルツハイマー病脳におけるポルフィロモナス・ジンジバリス:疾患因果関係の証拠と小分子阻害剤による治療」
歯周病を予防するには?
歯周病にならないようにするためには、日頃からどのようなことに取り組めばよいのでしょうか。
5つご紹介します。
歯磨きを正しく行う
歯周病の主な原因はプラークですが、歯周病を予防するには歯磨きでプラークを毎日取り除き細菌の増加を防ぐ必要があります。
歯周病は歯と歯の間から進行することが多いので、デンタルフロスや歯間ブラシを使い丁寧に歯を磨くことが重要です。
またうがい薬や爪楊枝ではプラークを取り除くことはできないことも覚えておきましょう。
定期的に歯科医院に通う
歯周病の予防のために定期的に歯科医院に通うことには次のようなメリットがあります。
- 自分では取ることのできない歯石を取ってもらうことができる
- 歯周病や虫歯の早期発見につながる
- 治療にかかるお金や時間が少なくて済む
- 個別にブラッシング指導や歯のクリーニングを受けて歯のトラブルを未然に防げる
歯の痛みや違和感がない場合でも、定期的に歯科医院に通うことが大切です。
タバコを控える
喫煙者はタバコを吸わない人と比較して歯周病にかかりやすく、また一度かかると治療をしても治りにくいと言われています。
1日10本タバコを吸うと歯周病にかかる可能性は5.4倍、また10年以上タバコを吸うと4.3倍に上がり、重症化もしやすくなるのです。
禁煙することで歯周病にはかかりにくくなるため、少しずつでもタバコを控える努力をするのは大切なことだと言えるでしょう。
参考:特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会「歯周病とタバコの関係」
ストレスをためない
ストレスをためる生活を送っていると多忙のため歯磨きを怠ったり、食事を抜いたりと歯にあまり良くない影響を及ぼすことをしてしまう可能性が高まります。
またストレスから無意識に歯ぎしりをしてしまう人がいますが、歯ぎしりは自分で感じている以上に歯や歯ぐきに力がかかり炎症を起こす原因となるため、歯周病の原因となってしまうのです。
ストレスの多い生活は歯にも大きな負荷をかけてしまうことを忘れてはいけません。
食事
歯周病菌に負けない身体作りをするためにも、栄養バランスの取れた食生活を心がけるのは大切なことだと言えるでしょう。
また口の中の唾液には汚れを洗い流したり殺菌したりする効果がありますが、早食いを控えることで唾液を十分に出し、歯周病を予防することができるのです。
宅配クック123は食事面から歯周病予防をサポートします
宅配クック123ではアルツハイマー型認知症を予防する観点から、歯周病予防を食事面でサポートしたいと考えています。
宅配クック123では全てのメニューを管理栄養士が作成しているため、食べ続けるほど栄養バランスが整っていきます。
また歯周組織はコラーゲンでできているのでコラーゲン生成に必要なタンパク質や鉄、ビタミンCなどは歯周病予防によいとされますが、宅配クック123のお弁当は国の配食ガイドラインに基づき1食あたりタンパク質が16g~24g取れるようになっています。
これらのことから宅配クック123のお弁当は食べるだけで自然に歯周病の予防につながると言えるでしょう。
歯周病になりにくい身体作りと、アルツハイマー型認知症予防のためにもぜひ宅配クック123のお弁当をお役立てください。
まとめ
歯周病とは細菌に感染することによって歯ぐきが炎症を起こし歯ぐきとそれを支える骨が溶けていく病気で、アルツハイマー型認知症とは脳内で作られるたんぱく質のうちの1つであるアミロイドβにより神経細胞が壊されることで脳が萎縮する病気ですが、歯周病菌がアルツハイマー型認知症を引き起こす可能性があることがわかっています。
高齢者のアルツハイマー型認知症を予防し、健康的な生活を送ってもらうためにもぜひ歯周病への理解を深めてみてください。