親が高齢者向けSNSを利用しているようだけれど、もともとインターネットに明るい方ではないのでトラブルを起こさないか心配と感じている人はいませんか?
この記事では、高齢者向けSNSを利用するメリットからトラブル防止法まで詳しく解説します。
高齢者向けSNSとは?
SNSは英語のSocial networking serviceの頭文字を取って名付けられた言葉で、インターネット上で人と人とのつながりを作ることのできるサービスのことを指します。
高齢者向けSNSはSNSの中でも高齢者に向けたUIデザイン(ユーザーの使い勝手を良くするためのデザイン)やUXデザイン(ユーザーにより良い体験をしてもらうためのデザイン)が施されているのが特徴的と言えるでしょう。
SNSの高齢者における利用の現状
SNSの高齢者における利用の現状とはどのようなものなのでしょうか。
インターネット利用率と利用目的、SNS利用率、高齢者がSNSを使わない理由の3つの観点からご紹介します。
高齢者のインターネット利用率と利用目的
2021年に発表された「令和3年通信利用動向調査」によると、高齢者のインターネット利用率は次のような結果でした。
世代 | 60才~69才 | 70才~79才 | 80才以上 |
インターネット利用率 | 84.4% | 59.4% | 27.6% |
また60才以上の高齢者8906人を対象にインターネットの利用目的についてたずねた所、次のように回答がわかれたのです。
回答項目 | 60才以上(複数回答) |
電子メールの送受信 | 78.0% |
ホームページやブログの閲覧、書き込みまたは開設・更新 | 45.6% |
SNSの利用 | 54.8% |
業務目的でのオンライン会議システムの利用 | 5.6% |
動画投稿・共有サイトの利用 | 23.1% |
オンラインゲームの利用 | 8.1% |
情報検索 | 73.8% |
e-ラーニング | 3.4% |
オンライン診療の利用 | 0.6% |
商品・サービスの購入・取引 | 39.6% |
金融取引 | 14.6% |
デジタルコンテンツの購入・取引 | 4.9% |
インターネットオークション、フリーマーケットアプリによる購入・取引 | 8.8% |
電子政府・電子自治体の利用 | 9.5% |
その他 | 2.5% |
業務目的での利用は少ないものの、ホームページやSNS、動画投稿サイトなどのコミュニケーション、また買い物やゲームなど自分の余暇の楽しみのためにインターネットを活用する人が多く、高齢者でインターネットを活用できる人が少ないというイメージはあまり当てはまらない現状がうかがえます。
SNSの高齢者における利用率
2021年に総務省情報通信政策研究所が発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、60代の人の主なSNSの利用率は次の通りでした。
SNSの種類 | 利用率 |
LINE | 82.6% |
14.1% | |
19.9% | |
13.4% | |
TikTok | 8.7% |
YouTube | 67.0% |
ニコニコ動画 | 7.6% |
調査開始以降SNS利用者数は増加傾向にあり、60代においてもLINEは8割の人が使用し他のSNSも使っている人が10%前後はいるため、今後も高齢者のSNS使用は増加することが見込まれます。
高齢者がSNSを使わない理由
内閣府が2021年に発表した高齢社会白書によると、60才以上の人の情報通信機器の活用状況
は次の通りでした。
情報通信機器の種類 | 利用率(複数回答) |
スマートフォン | 44.5% |
タブレット | 10.6% |
スマートフォン | 31.1% |
また「情報機器を使わない」と回答した人にその理由をたずねた所、次のような回答が得られたのです。
使わない理由 | 割合(複数回答) |
必要性を感じないから | 49.2% |
使い方がわからないので面倒だから | 50.3% |
お金がかかるから | 21.9% |
高齢者が情報通信機器の使い方をよくわからず購入しないことが、SNSの普及にも影響を及ぼしている現状がうかがえます。
参考:総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
参考:情報通信統計データベース「通信利用動向調査」
参考:内閣府「令和3年版高齢社会白書」
高齢者がSNSを利用するメリット
高齢者がSNSを利用するメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。
3つご紹介します。
生きがいができる
2021年に岡山大学大学院が発表した「コミュニケーションと高齢者の生きがいの関連性に関する研究―SNS利用に着目してー」では65才の男女529人を対象にアンケート調査を行い、生きがいを測定する尺度Ikigai-9を用いてSNS利用者とSNS非利用者に違いがあるかを測定しました。
SNS利用者とSNS非利用者で独立性の検定(クロス集計表において、二つの属性に関連性があるかどうかを統計的に判定する方法)を行った所有意水準(ある事象が起こる確率が偶然とは考えにくい=有意であると判断する基準となる確率)1%の差が生じたのです。
またSNSにおいて閲覧のみではなく投稿やメッセージでのやり取りなど多岐に渡る使い方をするほど、生きがい得点が高くなることもわかりました。
参考:橋本成仁 山下壮太 海野遥香「コミュニケーションと高齢者の生きがいの関連性に関する研究―SNS利用に着目してー」
社会的活動を増やせる
2019年に川村学園女子大学と了徳寺大学が発表した「高齢者のインターネットの使用が社会的活動及び精神的健康に及ぼす影響の検討」では65才から89才までの男女1,000人を対象にアンケートを行い、インターネットの使用が社会的活動と精神的健康に及ぼす影響について調べました。
調査項目は次の通りです。
インターネット使用 | 社会的活動 | 精神的健康 |
・通話量 ・メール量 ・SNS使用量 ・携帯でのその他ネット量 ・PCネット量 | ・趣味の活動 ・町内会・自治会の活動 ・職業活動 ・ボランティア活動 ・対人交流 ・外出頻度 |
この調査では次のようなことがわかりました。
・インターネットの使用が社会的活動と精神的健康に及ぼす影響は60代と70代、80代で異なる
・60代はインターネットの使用が社会的活動に影響するが精神的健康には影響しない
・60代は通話、メール、SNSの使用が多いほど社会的活動が増加する
・60代のPCネット使用は社会的活動を低下させる
・70代、80代ではメール量、携帯でのその他ネット量、PCでのネット量が多いほど社会的活動を介して精神的健康が高まる
これらのことから、インターネットを用いて外出の動機づけが高まるよう働きかけることが、高齢者の精神的健康に役立つ可能性があるとわかったのです。
参考:桂瑠以 橋本和幸「高齢者のインターネットの使用が社会的活動及び精神的健康に及ぼす影響の検討」
心の健康を維持できる
東京都健康長寿医療センター研究所では8,576人(18才から39才までの若年者2,543人、40才から64才までの中年者3,048人、65歳以上の高齢者2,985人)を対象にアンケート調査を行い、SNSの使用頻度と精神的な健康状態の関連について調べました。
すると高齢者ではLINEを定期発信、定期閲覧している人は心の状態が健康で幸福であるものの、Twitterを定期発信、定期閲覧している人は悩み・抑うつ傾向が強いという結果が出たのです。
この研究結果はSNSの種類によって健康度が変わるということを示したものではなく、SNSでも顔の見えるコミュニケーションや、肯定的なイメージのやりとりができると精神的な健康の維持に役立つ可能性があるということを示したものです。
またSNS以外のコミュニケーションも精神的健康に影響を及ぼしていたため、オンラインとオフラインでバランスの取れたコミュニケーションが重要だと言えるでしょう。
参考:地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所「<プレスリリース>SNSの利用とこころの健康は関連するか?」
高齢者におすすめの高齢者向けSNS
SNSの中には高齢者向けに作られたものもあるので、おすすめを3つご紹介します。
特徴 | メリット | URL | |
らくらくコミュニティ | ・会員数が200万人以上なのでさまざまな人とコミュニケーションができる | ・スマホメーカーが運営しているため操作がしやすい ・ユーザー登録をしなくても閲覧が可能なので機能や雰囲気が自分に合うか確かめてから使える | らくらくコミュニティトップページ |
ナビトモ | ・開設24周年の老舗SNSでオフラインでの交流に力を入れている | ・ブログ、ギャラリー、サークルといった機能があり発信やコミュニケーションがしやすい | ナビトモトップページ |
趣味人(しゅみーと)倶楽部 | ・50代以上の趣味つながりで友達を作りたい人向けのSNS | ・日記、フォト、メールといったシンプルな機能が多く直感的に操作できる | 趣味人クラブトップページ |
どのSNSも文字が大きくて読みやすく、使いたい機能がどこにあるかわかりやすい配置となっているため高齢者でも使いやすいでしょう。
高齢者のSNSにおけるトラブル
2022年8月独立行政法人国民生活センターが発表した「PIO-NETにみる2021年度の消費生活相談の概要」によると寄せられた相談の契約当事者に占める割合は60代が13.8%、70代が22.9%、80代が12.9%となっています。
またSNSに関する相談件数は、2020年は45,123件でしたが2021年には54,106件にまで増加したのです。
このことからSNSで高齢者に配信される広告、SNSで知り合った相手からの勧誘や個人的な取引などからトラブルを起こす可能性が高いのがわかります。
参考:独立行政法人国民生活センター「PIO-NETにみる2021年度の消費生活相談の概要」
高齢者のSNSトラブルへの対処方法
高齢者が取引によるSNSトラブルを起こした場合、まずは消費者ホットライン「188」に電話して相談をしましょう。
また高齢者がSNSトラブルを起こすのを事前に防止するために、総務省が運営する「上手にネットとつきあおう!安心・安全なインターネット利用ガイド」でシニア向けのトラブル防止ブックやトラブル防止セミナー動画などに目を通してもらうのもおすすめです。
参考:独立行政法人国民生活センター「消費者ホットライン(全国統一番号)」
参考:総務省 上手にネットとつきあおう!安心・安全なインターネット利用ガイド「シニア トラブル対策ブック」
宅配クック123は高齢者のSNS活動を食事でサポートしています
宅配クック123は高齢者のみなさんがSNSの中でも生き生きと活動できるよう、食事面からサポートをしたいと考えています。
宅配クック123のお弁当は管理栄養士が監修しており、高齢者の方が多めに取ってほしいたんぱく質を始め、必要な栄養素をバランス良く取れるよう配慮されているため、健康維持にぴったりなのです。
SNSで知り合ったみなさんとオフ会に出かける時など、家族としてはその前後に体調を崩さないか心配になるかもしれませんが、普段から宅配クック123のお弁当で体調を整えていただければ、健康な身体で楽しくオフ会にも参加できるでしょう。
本人の楽しみを健康面からサポートするために、宅配クック123のお弁当を試してみませんか。
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まとめ
高齢者のSNS活用には生きがい作りや心の健康の維持などさまざまなメリットがあるため、トラブルを防止しつつ本人が楽しめるよう配慮するのが大切だと言えるでしょう。
この記事も参考にして、高齢者向けSNSなど本人が楽しめそうな場所を見つけるサポートをしてみてください。