夏の猛暑や気候変動が多い昨今、熱中症を発症する人の半数が、65歳以上の高齢者なのはご存知でしょうか。もちろん、気温や湿度の高さは熱中症になりやすい要因の一つです。
高齢者の場合、ほかにも熱中症になりやすい原因があります。この記事では、高齢者が熱中症を予防するための注意点と、おすすめの食品についてお伝えします。
ところで熱中症とは?
通常、人は体の体温調節機能が働き、体温は36度〜37度程度に保たれています。気温や湿度が高い場所で運動や活動していると、汗をかき体内の水分や塩分が減っていきます。やがて体内で熱が発生しますが、汗が出にくくなると、うまく体外に熱を逃がせず、体温が上昇してしまうのです。さらに、めまい・筋肉のけいれん・頭痛など、体の機能に不調があらわれ、熱中症が発症します。
熱中症が起こるのはどんなとき?
夏に向けて気温や湿度が高くなり、熱中症の発生件数が増えていきます。熱中症になりやすい条件を4つお伝えします。
- 気温や湿度が高い
- 風が弱い
- 日差しが強い、照り返しが強い
- 急に暑くなった日
総務省消防庁「全国の熱中症による救急搬送状況」によると、熱中症が発生した場所は、1位が住居で、次いで道路になっています。室内であっても気温や湿度が高く、風通しが悪いと熱中症が発症しやすくなります。「梅雨明けなど季節の変わり目」「急に気温が上昇する日」「厳しい暑さが続く日」は気温や湿度が高くなりやすいため、注意しましょう。暑くなくても、湿度が高い日は熱中症のリスクが高まります。
出典:熱中症情報|総務省消防庁
高齢者に熱中症が多い理由は?
高齢者は家庭(庭も含む)で熱中症にかかる割合が多いのが特徴です。また、高齢者が熱中症になりやすい理由は主に4つあります。
- 暑さを感じにくい
- のどが渇きにくくなる
- 体に熱がたまりやすい
- 体内の水分が減少している
体温調節機能の働きが鈍くなり、高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくくなっています。また、汗をかきにくくなり、皮膚血流量が低下しているのも要因のひとつです。夏の間(7月〜9月)、高齢者は若者に比べ高温多湿の環境で過ごしているとの報告もあります。体内の筋肉は水分を蓄える役割がありますが、高齢者は体の筋肉の減少により体内の水分量が減っています。水分不足になりやすいため注意しましょう。
熱中症の見分け方
熱中症の症状にはさまざまなものがあります。また、熱中症の重症度はⅠ度〜Ⅲ度の3段階に分けられます。
Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる軽症
- 立ちくらみ(脳への血流が瞬間的に不十分になったことで生じる)
- 筋肉痛、筋肉の硬直(発汗に伴う塩分の不足で生じるこむら返り)
- 大量の発汗
Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等症
- 頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症
- 意識障害、けいれん、手足の運動障害
- 高体温(体に触ると熱い。いわゆる熱射病、重度の日射病)
引用:「熱中症について」:みんなの医療ガイド|公益社団法人全日本病院協会
高齢者が熱中症を予防するための8つの注意点
近年、気候変動の影響により、夏にかけて気温が高くなる日が多く、熱中症になる方が増えています。普段から気をつけることで熱中症にかかるリスクを減らせます。この章では、熱中症を防ぐための対処法を8つお伝えしますので、参考にしてください。
1.暑い時は無理せずエアコンを使う
高齢者は暑さを感じにくいため、気づかないうちに室内が高温多湿になる場合もあります。昼夜を問わず、エアコンの冷房や扇風機などを活用しましょう。エアコンの設定温度は28度程度を目安に、適切な温度を保つように気をつけてください。時々窓を開け、エアコンの冷気を逃がし、うまく温度調節するのがポイントです。設定温度を低くすると、外気温との差が大きくなり、体の負担になるため注意しましょう。
2.風通しのよい服装
吸湿性・速乾性のある、綿や麻素材など風通しがよい衣類を着るようにしましょう。襟のあいた服は風通しがよいためおすすめです。暑さが厳しい日は、外出を控えるのも予防になります。外出の際は日傘をさしたり帽子をかぶったりして、強い日差しや照り返しを防ぐことも大切です。
3.温度・湿度に気をつける
高齢者は暑さを感じにくいため、体感温度を基準にすると危険な場合もあるため注意しましょう。高齢者の居室は若年者に比べ、室内温度が2度程度高いとのデータもあります。暑さを感じなくても、温度・湿度計で測定し、室内環境を整えましょう。
4.部屋の風通しをよくする
室内を閉め切り、空気がこもっていると熱中症になりやすくなるため注意が必要です。換気をしたり、扇風機を使ったりして風通しをよくしましょう。窓に遮光カーテンやすだれを設置し、直射日光をさえぎるのも効果があります。
5.体を冷やす工夫を
活動中に体温が上がってきたら、保冷剤や氷をあてたり、濡れタオルで体を拭いたりして、体を冷やすようにしましょう。
6.水分はこまめに、塩分はほどよく
高齢者は体内の水分量が減少しており、脱水症状を起こしやすくなっています。のどが乾く前に、こまめに水分補給するようにしましょう。食事以外から摂る水分の目安は、一日あたり1.2Lです。入浴時や睡眠時も水分が失われるため、入浴前後、起床時も水分補給することが大切です。普段の食事からも水分や塩分を摂れます。フルーツや夏野菜には水分が多いほか、お味噌汁で水分や塩分を摂取できます。
7.汗をかく運動で体力づくりを心がける
ウォーキングやストレッチなど、普段から汗をかく習慣を身につけることも大切です。できる範囲の運動で、暑さに慣れておきましょう。
8.周囲が気を配る
自分では体調の変化に気がつかなかったり、具合が悪くても言いにくかったりする人もいます。普段から、周囲の人が体調に気を配ることも大切です。体調の変化や室内環境をチェックし、必要なサポートをしましょう。エアコンの使用やこまめな水分補給を呼びかけ、予防になるようにうながしましょう。
熱中症を予防する食べ物は?
日ごろの食習慣でも熱中症を予防できます。汗をかくことで失われやすいビタミン類やミネラル類を積極的に摂るように心がけましょう。熱中症予防におすすめの栄養素と食品を紹介します。
ビタミンB群(とくにB1)
肉類、魚類、豆類、穀類、種実などに多く含まれます。とくに多い食品は豚肉、うなぎ、ごま(乾)などです。
ビタミンC
果物や野菜に多く含まれます。とくに多い食品では、柑橘類、ピーマン、キウイフルーツ、いちご、ブロッコリー、トマトなどです。
クエン酸
柑橘類に多く含まれます。このほか、梅干し、酢の物など、酸味の効いたものに多く含まれます。
カリウム
藻類、果実類、いも及びでん粉類、豆類、肉類、魚介類、野菜類など、多くの食品に含まれます。カリウムは、加工により減少しやすい栄養素です。とくに多い食品は、ほうれん草、バナナ、キウイフルーツです。
ナトリウム
調味料(塩・しょうゆ・みそなど)、練り製品、ハム・ウィンナーや漬け物などの加工食品に多く含まれます。ナトリウムは普段の食事で摂取できますが、汗をかいた際に不足しやすくなるため、水分とともに摂取する必要があります。塩分タブレットなどを携帯しておくとよいでしょう。
トマト・きゅうり・なすをはじめとした夏野菜は、夏の時期に必要な栄養素のほか、水分も多く含まれ、体を冷やす効果があります。また、夏の旬の食品やメニューは、夏の暑さからくる疲労をやわらげ、熱中症予防になるでしょう。
まとめ
高齢者は体温調節機能の低下などにより、暑さやのどの渇きを感じにくく、熱中症になりやすいため注意が必要です。普段から「水分はこまめに、塩分はほどよく」摂るように心がけましょう。旬の食材を取り入れたメニューは熱中症予防になります。栄養バランスの取れた食生活を意識しましょう。
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