季節の変わり目や気温上昇に伴い、脱水症や熱中症になるリスクが増えていきます。高齢者は成人に比べて、体内の水分量が減少しているため注意が必要です。「こまめに水分補給をとよく聞くけど、いつ飲めばいいの?」「糖尿病があるけど、スポーツドリンクは飲んでもいいのだろうか?」など、疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、高齢者に水分補給が必要な理由と、効果的に摂るために適切なタイミング、おすすめの飲み物や水分補給レシピを紹介します。
高齢者に水分補給が必要なのはどうして?
体内の水分量は年齢とともに変化し、高齢者は成人の時に比べて体内の水分量の割合が減少していきます。体内の水分量が減る理由として、以下の4つが挙げられます。
- 加齢による筋肉量の低下
- のどの渇きを自覚しにくい
- 腎機能低下により水分や電解質が失われやすくなる
- 食事量の低下
加齢により活動量が減少し、食欲が低下すると、筋肉量も減っていきます。筋肉は体内の水分を蓄える役割もあり、筋肉量が減少すると、体内の水分量も少なくなります。高齢者はのどの渇きを自覚しにくく、水分補給の機会が減りやすいため注意が必要です。
食事量が減ると、食べ物から得られる水分量も減ります。高齢者は体内の水分量が不足しやすくなるため、水分を意識して摂取することが大切です。こまめな水分補給を心がけましょう。
いつ水分補給するといい?適切な量 やタイミング
高齢者の場合、麦茶など一日につき1〜2Lの水分補給で、脱水症状を予防できるとされています。水分が失われやすいタイミングを知り、効果的に摂取していきましょう。水分補給に適したタイミングは、主に以下の3つが挙げられます。
1、起床時・就寝前
寝ている間も汗をかき、水分が失われます。起きた時に脱水状態になる場合もあるため、水分補給しましょう。寝る前や朝の起床時に、コップ一杯の白湯を飲むのがおすすめです。就寝前の水分補給は、遅くとも寝る1時間前に済ませておきましょう。
2、運動前後
運動をすると、体内で熱が発生し、体が体温を下げるために発汗します。長時間運動する時は、休憩を交えながら水分補給を心がけましょう。また、大量に汗をかいた場合は、塩分も失われます。スポーツドリンクなどを飲用し、0.1〜0.2%程度の塩分も補給するようにしましょう。
3、入浴前後
入浴中も体の水分が失われるため注意してください。長時間入浴する際は、脱水予防のためにも、時々水分補給しましょう。
高齢者の水分補給におすすめの飲み物は
嗜好飲料の種類も増え、リラックスタイムに楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。とはいえ、どんな飲み物も水分補給に適しているわけではありません。この章では、水分補給に向く飲み物・向かない飲み物は何か、その理由についても解説します。
水分補給におすすめの飲み物
高齢者の水分補給におすすめの飲料は主に4つあります。
- 麦茶
- 水
- ルイボスティー
- 経口補水液
麦茶やルイボスティーは、ナトリウムやカリウムなど、ミネラルを豊富に含んでいます。汗をかくことで失われたミネラルを補給するのに最適です。定期的な飲用は熱中症対策にもなります。
経口補水液は、汗で排出したミネラルなどの栄養素や水分を補給します。熱中症の症状がある時など、緊急時の摂取がおすすめです。熱中症や下痢による脱水症状の緩和にも役立ちます。経口補水液は、熱中症予防にもなりますが、日常的な水分補給には向きません。
スポーツドリンクについて
スポーツドリンクは糖分・塩分が多いため、体内に素早く水分を補給します。運動などで大量に汗をかいた時の水分補給におすすめです。ただし、摂取する機会が多いと、過剰摂取になるリスクがあります。とくに、糖尿病の場合は血糖値が上がるため控えましょう。ダイエット中の場合も、糖分が多いため注意が必要です。
水分補給に向かない飲み物
高齢者の水分補給に向かない飲料もあります。以下の3つは、体内の水分量が不足している時は避けたほうがいいでしょう。
- コーヒーや緑茶などのカフェイン飲料
- アルコール飲料
- ジュース
カフェイン飲料には利尿作用があります。大量に飲むと下痢や吐き気をもよおす場合もあるため注意しましょう。休憩時の気分転換での飲用をおすすめします。アルコール飲料にも利尿作用があります。たとえば、水分補給のためにビールを飲用したとしても、尿の量を増やすため、体の水分を排出してしまいます。ジュースも糖分が多いため、頻繫に飲む飲料としてはおすすめできません。
高齢者の水分補給に適した食べ物はある?
水分は飲み物から摂るイメージがありますが、食事の際に食べ物からも得られます。食欲が低下している時は、とろみをつけたり、ゼリーにしたりして、摂取しやすくしましょう。
嚥下障害がある場合は工夫することが大切
高齢者の場合、食べ物や飲み物がのどにつまりやすくなるほか、体が思うように動かず、トイレの回数を減らすために、水分補給に消極的になるケースも少なくありません。おかずにとろみをつけたあんをかけたり、おやつにゼリーを出したりしても水分補給になります。
市販品も上手に利用しましょう
キャップつきのチアパックなどの市販品を水分補給として利用する場合は、「熱中症対策」「水分補給」と書かれているものや、ビタミン・ミネラル類が含まれたものを選ぶといいでしょう。また、市販の飲み物にとろみをつける場合は、とろみをつけた際に味落ちがないかチェックしてください。
高齢者の水分不足予防レシピ
ここからは、水分補給がしづらい高齢者に向けた、水分補給のためのおすすめレシピを2つ紹介します。
魚の野菜あんかけ
【材料】
- 白身魚や生さけなど 一切れ
- 酒 5g
- 塩・こしょう 少々
- 生しいたけ 10g
- ピーマン 10g
- 玉ねぎ 10g
- 人参 10g
- しょうゆ 3g
- 砂糖 5g
- 酢 3g
- 片栗粉 2g
【作り方】
- 魚は塩・こしょうし、酒を振ってしばらくおく。フライパンやなべで蒸し焼きにする。
- 野菜をせん切りにする。
- 2を調味料で煮て、片栗粉でとろみをつける。1にかける。
※3で野菜を煮た後、食事の段階に適した形状にしてとろみをつけること。
水分補給レシピ☆お茶ゼリー
【材料】
- 麦茶 300ml
- 粉ゼラチン 5g
- 水 大さじ1~2
【作り方】
- 容器に粉ゼラチンを入れ、水を加えてふやかしておく。
- 麦茶を鍋に入れて温める。温まってきたら1を加え、よく混ぜる。
- 沸騰する前に火を止める。
- うつわに分け入れ、あら熱がとれてから冷蔵庫で2〜3時間ほど冷やし固める。
※麦茶の代わりに、水やおすすめに挙げた飲料でも作れます。嚥下状態をみて、とろみ剤の種類を使い分けてください。
まとめ
高齢者は、加齢に伴い成人と比べて水分量が不足しがちなため、こまめに水分補給する習慣をもつことが大切です。水分不足は熱中症や重篤な疾患にも繋がる場合もあるため注意してください。暑い時期は食欲が落ちますが、食事を抜くと、本来食事から得られるはずの水分が摂れなくなります。今回紹介したレシピを参考にして、食事からも水分補給するようにしましょう。
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