食事援助が必要な高齢者が家族にいるので配食サービスや市販の介護食品を試してみようと思っているけれど、何を基準に選べば良いのかいまいちよくわからないと悩んでいる人はいませんか?
この記事では配食サービスと市販の介護食品の違いや、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
配食サービスとは?
配食サービスは栄養改善型配食サービスとも呼ばれ、調理済みで定食型の食事を届け、必要があればカロリー、タンパク質、食塩量なども調整できるサービスのことです。
対象となるのは自宅で生活する65才以上の高齢者と地域高齢者に準じた健康支援を行う必要のある65才未満の人で、介護保険は適用されません。
また配食サービスは、高齢者の生活を地域で支える仕組みとして生まれた地域包括ケアシステムの中で、生活支援・介護予防サービスの1つとして位置付けられています。
そのため地方自治体によっては配食サービスに対して補助金や助成金を出し、割安な料金で利用できるようにしている場合もあるのです。
参考:厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」
市販の介護食品とは?
市販の介護食品とは栄養補給が必要だったり、嚥下や咀嚼が困難だったりする高齢者の方向けの食品のことを言います。
農林水産省では介護食品の市場が拡大してきていることを受けて、今まで使われてきた介護食の規格である日本摂食・嚥下リハビリテーション学会が提唱した「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013」や日本介護食品協議会が提唱したUDF(ユニバーサルデザインフード)などの規格をいったん整理し、新しく「スマイルケア食」を提言しました。
スマイルケア食の分類とそれぞれの定義を表にまとめてみました。
スマイルケア食の分類 | 定義 |
スマイルケア食青マーク | エネルギー及びたんぱく質の量が制度の基準(エネルギー100kcal以上、たんぱく質100g当たり8.1g以上)を満たしている |
スマイルケア食黄マーク5 | 容易にかめる食品 |
スマイルケア食黄マーク4 | 歯ぐきでつぶせる食品 |
スマイルケア食黄マーク3 | 舌でつぶせる食品 |
スマイルケア食黄マーク2 | かまなくてよい食品 |
スマイルケア食赤マーク2 | 少し咀嚼して飲み込める性状のもの |
スマイルケア食赤マーク1 | 口の中で少しつぶして飲み込める性状のもの |
スマイルケア食赤マーク0 | そのまま飲み込める性状のもの |
スマイルケア食として分類された市販の介護食品にはそれぞれの定義に応じたマークが表示されているため、高齢者の方に合った食品を選びやすいと言えるでしょう。
参考:農林水産省「スマイルケア食(新しい介護食品)」
参考:農林水産省「スマイルケア食の取り組みについて」
配食サービスを利用するメリット
配食サービスと市販の介護食品を比較した時、配食サービスにはどのようなメリットがあるのかを5つご紹介します。
1,栄養バランスが乱れにくい
配食サービスにおいてはカロリー、栄養価などを計算して食事を作っているため、高齢者の方が「一品食い」や「大量に残す」といったことをしない限り、栄養バランスが乱れにくくなっています。
また近年高齢者においては、フレイル予防の観点から男性は1日に48 g、女性は1日に 43.3 g以上のタンパク質摂取を推奨されていますが、配食サービスではこのタンパク質を積極的に摂取できるメニューも増えてきているのです。
手間をかけずに栄養バランスを整えることができるのが、配食サービスを利用する大きなメリットと言えるでしょう。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」高齢者
2,食事を作る手間がかからない
配食サービスでは献立を考えて調理をし、自宅に届けるところまで全てやってもらえるため、食事を作るために行う次の4つの作業が必要なくなります。
・買い物をする
・毎食の献立を考える
・調理をする(または作り置きをする)
・配膳をする
これらの作業が生活から省かれることで、高齢者やその家族が自分のために時間を使えるようになるのが配食サービスの大きなメリットだと言えるでしょう。
3,業者によっては安否確認もしてもらえる
配食サービスの業者によっては高齢者の方に合った介護食を提供するだけではなく、安否確認を行ってもらうことができます。
またケアマネージャーや、ご家族から依頼があれば食事を家の中まで搬入したり、薬を飲むようお声がけをしたりといったサービスを行っている業者もあるのです。
4,フードロスの軽減につながる
大量の賞味期限切れや規格外の食品が廃棄されてしまうフードロス問題ですが、配食サービスを利用することでも軽減につなげることができます。
家庭から出るフードロスは飲食店などと比較すると少量ではありますが、配食サービスを利用することで余らせて捨ててしまうといったことの防止につながるのです。
5,自宅では作りにくいメニューも提供できる
自宅では作りにくいメニューを外食で楽しむという人は意外と多いのではないでしょうか。
配食サービスでは外食に携わるシェフが開発に携わったメニューを提供する業者もあるため、家にいながら自宅で作るのとは一味違う食事を楽しむことができるのです。
行事食としての位置づけでたまにこのような豪華な食事を楽しむのは、高齢者のQOL向上につながるでしょう。
市販の介護食品を利用するメリット
配食サービスと市販の介護食品を比較した時、市販の介護食品にはどのようなメリットがあるのかを3つご紹介します。
1,買い置きがしやすい
市販の介護食には次の3つの保存形態があります。
・冷凍タイプの介護食
・冷蔵タイプの介護食
・常温タイプの介護食
どの保存方法も冷蔵庫や棚などの光の射さない場所があれば自宅で手軽に行うことができるため、市販の介護食は賞味期限にさえ気を付ければ買い置きがしやすいと言えるでしょう。
2,高齢者の好みに応じた食事を提供できる
市販の介護食にはさまざまな種類があるため、高齢者の方の好みに合った味の食事を提供できます。
味付けについては濃いめや薄め、また見た目なども高齢者の方が食べやすいと感じる介護食を選択することで、QOL(生活の質)を上げることができるでしょう。
3,メニューを増やしやすい
2017年4月に日清オイリオグループが在宅介護を行っている家族100名を対象に行った「第11回在宅介護事情調査」で、介護食作りの何が大変かをたずねたところ、「いつも決まった食材(メニュー)になってしまう」が46%で1位でした。
普段は自宅で介護食を作っている家庭でも、気分転換に新しいメニューを取り入れたり、食事に飽きがこないよう配慮したりしたい時に市販の介護食を用いると、手軽に季節のメニューや食べたことのない食材を取り入れることができます。
参考:@press「日清オイリオグループ 第11回在宅介護事情調査」
宅配クック123独自のメリットとは?
宅配クック123における配食サービスと市販の介護食品を比較した時、宅配クック123の配食サービスを利用するメリットを3つご紹介します。
1,カロリーと栄養価を計算し表示してある
宅配クック123では、お届けする全ての食事に「本日のメニュー」を同封しています。
メニューにはその日のおかずの名称だけではなく、エネルギー(kcal)、タンパク質(g)脂質(g)、炭水化物(g)ナトリウム(mg)、食塩相当量(g)が記載されており、同時にお届けするごはんやおかゆのエネルギーも表示されているのです。
高齢者の方の栄養バランスや摂取カロリーに配慮する必要がある場合でも、宅配クック123の食事では「本日のメニュー」を確認することで数値が誰にでも明確にわかるため、管理しやすくなると言えるでしょう。
2,細やかな安否確認をしてもらえる
配食サービスでは安否確認をサービスの一環として行う業者が少なくありませんが、宅配クック123ではケアマネージャーから依頼があれば食事を家の中まで搬入したり、薬を飲むようお声がけをしたりといった細やかなサービスを同時に行っています。
一人暮らしの高齢者の方の場合、家の中までお届けすることで体調にお変わりはないかや掃除が行き届いているかなど、ご本人の変化をいち早く確認しご家族に報告することができます。
また高齢者の方の薬の飲み忘れは体調の急変につながる可能性もあるため、お声がけをすることで確実な服薬へとつなげるのは重要なことと言えるでしょう。
3,週に1食から注文できる
宅配クック123では週に1回、1食から注文することができます。
この形であれば高齢者の家族の方が食事援助をするのが難しい時や、ご本人の気分転換といった目的でも気軽に配食サービスを活用することができるでしょう。
電話でもFAXでも前日の18時までに注文すれば配食サービスを受けることができるので、急な予定変更で食事が必要になった場合でも依頼しやすいのです。
また最初は高齢者の方の口に合うかどうかわからないので試食をしてから依頼するかどうかを決めたい場合でも、ホームページから資料請求すれば無料試食券入りのパンフレットが届きます。
初めてなので配食サービスの利用をためらっているなら、まずは問い合わせや試食から始めてみましょう。
まとめ
配食サービスは栄養改善型配食サービスとも呼ばれ、調理済みで定食型の食事を届けるサービスのことで、市販の介護食品とは栄養補給が必要だったり、嚥下や咀嚼が困難だったりする高齢者の方向けの食品のことを言います。
どちらもさまざまなメリットがありますが、栄養バランスが崩れにくく安否確認などの付加サービスも充実していることから、配食サービスをうまく利用することで高齢者の方のQOLをより高めることができるでしょう。
配食サービスも市販の介護食品も高齢者のニーズに合った形で上手に利用し、ご本人が豊かな食生活を送ることができるよう配慮してみてください。