居宅サービスの担当として家族介護のサポートをしているけれど、最近介護をしているご家族も体調を崩し気味でどうにかならないかと頭を抱えている人はいませんか?

この記事ではそんな人に知ってほしいレスパイトケアについて詳しくご紹介します。

レスパイトケアとは?

レスパイトケアとは介護を担う家族が一時的に介護から離れ、休息をしてリフレッシュを図るために行われる介護サービスのことで、英語で小休止や息抜きといった意味を持つ「Respite」から名付けられました。

2016年に発表された「国民生活基礎調査」の結果によると、同居の介護者で日常生活の悩みやストレスが「ある」と回答した人は68.9%で、その原因を「家族の病気や介護」と回答した人が男性73.6%、女性76.8%、「自分の病気や介護」と回答した人が男性33.0%、女性27.1%という結果だったのです。

調査結果から介護を担う家族は悩みやストレスを抱えている人が多く、それにより自分も病気になっている人がいる現状がうかがえるでしょう。

このことから在宅介護においては要介護者、介護者の共倒れを防ぐためにもレスパイトケアを適切に取り入れることが重要だとわかります。

参考:厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」

レスパイトケアをする目的

レスパイトケアを取り入れるのはどのような目的があるのでしょうか。

3つご紹介します。

介護疲れをいやす

在宅介護は24時間365日休みなく続くため、介護者の中には介護疲れを起こす人も増えてきます。

介護疲れを起こす理由として考えられるのは次の3つです。

  • 身体的な負担が大きいこと
  • 精神的な負担が大きいこと
  • 経済的な負担が大きいこと

また要介護者が認知症にかかった場合、それと向き合うことでも負担は増加するでしょう。

介護者が介護疲れをいやし、また前向きに介護に取り組むためにもレスパイトケアを取り入れるのは重要なことだと言えます。

介護離職の防止

介護離職とは家族や親族が要介護となった場合、介護をするために会社を辞めてしまうことです。

仕事をしながら介護を担う負担に耐えかねて仕事をやめてしまうのですが、2019年に株式会社大和総研が発表した「介護離職の現状と課題」によると、介護離職に伴う経済全体の付加価値損失は1年当たり約6,500億円と見込まれています。
働く世代が仕事と介護を両立し、経済を活性化させるためにもレスパイトケアは不可欠だと言えるでしょう。

参考:株式会社大和総研「介護離職の現状と課題」

高齢者虐待の防止

2020年に厚生労働省が発表した「令和2年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」によると、高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等による高齢者虐待の相談・通報件数は35,774件で、前年度より1,717件増加しました。

また虐待と判断された件数は17,281件で、前年度より353件増加したのです。

高齢者虐待に歯止めをかけるためにも、レスパイトケアを積極的に取り入れる必要があると言えるでしょう。

参考:厚生労働省「令和2年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」

レスパイトケアの種類

レスパイトケアには、介護保険サービスで行うことのできるサービス、医療保険を用いて行うことのできるサービス、介護保険外サービスを用いて行うことのできるサービスの3種類があるため、それぞれご紹介します。

介護保険サービスで行うことのできるレスパイトケア

介護保険サービスを利用して行うことのできるレスパイトケアにはどのような種類があるのでしょうか。

3つご紹介します。

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問介護(ホームヘルプ)は要介護1~要介護5の人が受けられる介護保険サービスで、利用者が自立した日常生活を送るのを目的にホームヘルパーが訪問して支援を行います。

支援の内容は次の3つです。

  • 食事、排泄、入浴などの身体介護
  • 掃除、洗濯、買い物、調理などの生活援助
  • 通院のための乗車、移送、降車などの乗降介助

レスパイトケアを目的として依頼する際は利用者家族のための生活援助など、直接利用者を援助しないサービスは受けられないことに注意しましょう。

時間別の利用者負担金額は次の通りです。

【身体介護】

時間利用者負担(1回につき)
20分未満165円
20分以上30分未満248円
30分以上1時間未満394円
1時間以上1時間半未満575円

【生活援助】

時間利用者負担(1回につき)
20分以上45分未満181円
45分以上223円

【通院時の乗車・降車等の介助】

利用者負担(1回につき)
98円

1時間前後の利用時間となるため、休暇というよりは介護に休憩をはさみたい時に利用するとよいでしょう。

通所介護(デイサービス)

通所介護(デイサービス)は要介護1~要介護5の人が受けられる介護保険サービスで、利用者が自立した日常生活を送ることや孤立感の解消、心身機能の維持、家族介護の負担軽減を目的に通所介護施設にてサービスを受けることができます。

サービスの内容は次の通りです。

  • 食事や入浴などの生活支援
  • 生活機能向上のための機能訓練
  • 利用者同士の交流
  • 自宅から通所介護施設までの送迎

利用者負担金額は次の通りです。

要介護度(時間は7時間~8時間で1ヵ月の平均利用のべ人数301人以上750人以内の施設に通う場合)利用者負担(1回につき)
要介護1645円
要介護2761円
要介護3883円
要介護41,003円
要介護51,124円

7~8時間程度の利用時間で送迎もしてもらえるため、デイサービスの間に介護者が仕事をすることもできるでしょう。

ショートステイ

ショートステイは要支援1・2、要介護1~5までの人が利用できる介護保険サービスで、利用者が自立した日常生活を送ることや孤立感の解消、心身機能の維持、家族介護の負担軽減を目的に介護老人福祉施設などでサービスを受けることができます。

サービスの内容は次の通りです。

  • 食事や入浴などの生活支援
  • 生活機能向上のための機能訓練

利用者負担金額は次の通りです。

要介護度(併設型・多床室の場合)利用者負担(1日につき)
要支援1437円
要支援2543円
要介護1584円
要介護2652円
要介護3722円
要介護4790円
要介護5856円

連続利用日数の上限は30日までとされているため、レスパイトケアとして介護者が心身をしっかりと休ませることができるのではないでしょうか。

参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 公表されている介護サービスについて」

医療保険を用いて行うことのできるレスパイトケア

医療保険を用いて行うことのできるレスパイトケアにはレスパイト入院があります。

医療的な管理を必要とし介護保険によるショートステイが難しい人が対象となるのですが、具体的には次のような例をイメージするとわかりやすいでしょう。

  • 神経難病の人
  • 気管切開をしている人
  • 経管栄養の人
  • 吸引が必要な人
  • 在宅酸素が必要な人
  • 人工呼吸器をつけている人
  • 医療用麻薬を服用している人

レスパイト入院では日常生活のサポートと、リハビリを受けることができます。

費用には医療保険の高額療養費の補助制度が適用されますが、申し込みをかかりつけ医やケアマネージャーを介してする必要があるため、詳細な費用についてはそちらに確認してみましょう。

介護保険外サービスで行うことのできるレスパイトケア

介護保険を使わず実費を支払うことで受けられる介護保険外サービスを用いて行うことのできるレスパイトケアには次のような種類があります。

  • 家事援助サービス
  • 外出支援サービス
  • 見守りサービス

介護保険でまかなうことのできない部分を補うのを目的としたサービスなので、幅広いサービスから選んで利用できるのが特徴的と言えるでしょう。

費用についてはケアマネージャーを通じてサービスの運営主体に問い合わせをすることをおすすめします。

介護保険外サービスについても詳しく知りたい人は、次の記事もごらんください。

レスパイトケアで知っておきたい具体例

介護の現場で働く人に、ぜひ知っておいてほしいレスパイトケアの具体例はスウェーデンでのレスパイトケアへの取り組み事例です。

2009年7月にスウェーデンでは社会サービス法が改正され、日本の地方自治体にあたるコミューンによる介護者支援が義務化されましたが、改正前から各コミューンでは次のようにさまざまな介護者支援が行われていました。

2004年における各コミューンの実施割合2008年における各コミューンの実施割合
ショートステイによるレスパイト99%99%
デイケアによるレスパイト92%93%
カウンセリング74%90%
介護者の教育32%69%
介護者の健康チェック3%4%

社会サービス法の改正後、スウェーデンでは18才以上の人1万5千人を対象に介護者の実態調査を行い、「介護が労働に影響を与えているか」という質問をした所、次のような結果が出ました。

退職を余儀なくされたほとんどない全くない
男性3%60%25%
女性3%57%26%

このことから、スウェーデンにおいてはレスパイトケアを含む介護者支援を行うことで、介護離職をする人がほとんどいなくなったことがわかります。

参考:海外社会保障研究 藤岡純一「スウェーデンにおける介護者支援」

宅配クック123は配食サービスでがんばりすぎない介護を応援します

宅配クック123は配食サービスで家事援助の1つを担い、介護者の方々のがんばりすぎない介護を応援したいと考えています。

介護保険外サービスなので事前に要介護認定を受けることなく1日1回、1食から利用できるため、介護者の方が「今は食事を作りたくない」といった気持ちになった時すぐに活用していただけるのです。(※最短で翌日から利用可)

要介護者の方だけではなく介護者の方にも寄り添ったサービスをするため、お弁当はやわらか食ムース食のような介護食だけではなく、普通食健康ボリューム食もご用意しています。

介護者の方がレスパイトケアを受けながら、要介護者の方と家族として同じものを食べる楽しみも感じていただくために、私たちは喜んで2種類のお弁当をお届けします。

宅配クック123資料請求ページ

まとめ

レスパイトケアとは介護を担う家族が一時的に介護から離れ、休息をしてリフレッシュを図るために行われる介護サービスですが、介護保険サービス、医療保険サービス、介護保険外サービスなどを上手に組み合わせることでよりニーズに合った形のレスパイトケアができるでしょう。

この記事も参考にして、ぜひ1つ1つの家族に会ったレスパイトケアの形を考えてみてください。