年の瀬に迫るにつれお酒を飲む機会も増えてくると思います。
忘年会やクリスマス、年が明ければお正月の親戚との集まりに新年会・・・。

この記事では飲酒にスポットを当てて解説していきたいと思います。
飲酒に関わる全般的なことに触れた後「高齢者と飲酒」についてより具体的に見ていきます。

飲酒の状況

それでは現在の日本人の飲酒の状況を見ていきましょう。
ここで紹介するデータは国民健康・栄養調査(令和元年)の物で厚生労働省が毎年実施している大規模な調査です(令和2~3年はコロナ渦のため実施されませんでした)。
この調査では生活習慣病のリスクを高める量の飲酒として男女それぞれ純アルコールで40g、20gを設定しました。
その結果、男性では14.9%、女性では9.1%がこのラインを上回っていました。
ちなみに、年齢別に見てみると男性では40代、女性では50代を頂点とする山型のグラフとなっていました。

飲酒量の目安

先ほどは生活習慣病のリスクを高めるラインについて数値を示しましたが次は飲酒量の目安について触れたいと思います。
厚生労働省の国民健康づくり運動「健康日本21」では「1日平均純アルコール約20g程度」とされています。
ただ、これには但し書きがあり「女性は男性より少ない量が適当である」、「65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である」などの記載があります。

ちなみに、この純アルコール20gの具体例としてビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎0.6合、ワイン1/4本などがあります。

また、現時点では厚生労働省で飲酒ガイドライン作成検討会というものが行われており一般的な活用の場面を想定して飲酒ガイドラインの作成が行われているところです。

お酒の健康障害

お酒(アルコール)が健康に及ぼす悪影響についていくつ思い浮かびますか?
調べてみるとこんなにもあったのかと思うようないろいろな健康障害があります。
ここではそれらについて軽く紹介したいと思います。

最初に思い浮かぶものの一つがアルコール依存症ではないでしょうか?
アルコール依存症であるにもかかわらず自覚がないまま依存症が進行している方が大多数いるようです。
健康を害して生活が立ちいかなくなるまで治療を始めないケースが多いようです。

また、アルコール性肝障害も最初に思い浮かぶものの一つではないでしょうか?
アルコール性肝障害には脂肪肝肝硬変などがあてはまります。

脳障害では足の運動障害手の震え言語障害などが現れます。
心臓障害は少量なら狭心症心筋梗塞を予防すると言われていますが、飲酒量が増えることでリスクが上がります。
その他にも胃、食道、膵臓などいろいろな部位で健康障害が起こります。

未成年の飲酒の場合にはホルモンのバランス異常、妊娠中の方の場合には胎児性アルコール症候群(奇形や障害)が問題となってきます。

アルコール性認知症

アルコール性認知症はアルコールの大量摂取が原因と考えられる認知症です。
60歳以上のアルコール依存症を対象とした調査では男女それぞれ43.6%、44.5%で軽度認知障害または認知機能障害が認められました。

アルコールが関連する認知症で最も多い物がウェルニッケ・コルサコフ症候群とされています。
そもそもアルコールの代謝にはビタミンB1が欠かせません。
そして、アルコールの摂取量が増えることでアルコールの代謝に必要となるビタミンB1の必要量が増えます。
その結果、通常のビタミンB1摂取量では不足してしまいます。
簡単に説明するとこれが原因となります。

症状としては眼球運動障害や意識障害、運動失調、記銘力障害、見当識障害、作話、アルコール依存症と同じような症状が現れます。

高齢者と飲酒

高齢者の暮らしを考えてみると退職やパートナーとの死別などが一例としてあげられます。
これらをきっかけとして飲酒量が増えることは簡単に想像がつくことでしょう。
これを解決するためには一人一人環境は違うと思いますが、社会活動への参加など生きがいのある生活を送ることが健康寿命を延ばすとされています。

飲酒時の注意点としていくつか挙げていきたいと思います。
まず、足がふらつくまで飲まないということです。
もし転倒をしてしまえば場合によっては骨折、そのまま寝たきり生活になってしまうこともあります。
また、薬を飲んでいる場合はお酒を飲んでも問題ないか病院へ確認することも大切です。
飲酒直後の入浴やサウナで血圧が上がるためアルコールが抜けてから入浴やサウナに入るようにしましょう。

正しいお酒の飲み方

正しいお酒の飲み方の一つは空腹で飲まないことです。
食事をしながら飲むことでアルコールの吸収を遅らせることができます。

次に一般的なお酒のおつまみは塩分が多く、食物繊維が少ないケースがあります。
その点も注意しておつまみ選びができるといいですね。

また、アルコール度数の高いウイスキーや焼酎を飲む場合はチェイサーも飲みましょう。

本文中で「健康日本21」が示している飲酒量の目安について触れました。
これは飲酒習慣のない方へ飲みましょうと呼びかけているものではありません。
確かに飲みニケーションという言葉もあります。
家族、親戚や友人との集まりなど楽しく飲みたい時もあるでしょう。
飲酒マナーを守ってご自身の体を気遣った飲み方ができればいいですね。