ケアマネージャーやケアワーカー同士でのミーティングで介護についての最新情報を共有されたけれど、いまいち意味がわからないまま放置してしまった経験のある人はいませんか?
この記事ではそんな人の役に立つ、介護についての最新情報と用語の内容について詳しくご紹介します。
介護についての最新情報
介護における最新情報を、「介護における最新の社会問題」「介護における最新のケア手法」にわけてそれぞれご紹介します。
介護における最新の社会問題
介護における社会問題として、「介護難民」「老老介護」「認認介護」「陽陽介護」「ミッシングワーカー」の5つを、最新情報や知っておきたい用語も交えてご紹介します。
介護難民
介護難民とは介護が必要な高齢者や障がい者が、必要な介護サービスを受けられない状態と定義づけられています。
介護難民が増加する原因は次の5つです。
- 人口構造の変化
- 要介護認定者数の増加
- 介護業界における人材不足
- 家族介護ができない
- 介護にかかる費用をまかなえない
国でも介護難民の増加を予防するため人材確保や介護業界における働き方改革、介護ロボットの開発支援などさまざまな施策を行っていますが、将来介護難民にならないようにするための準備も自分で行うことができます。
詳しい内容について知りたい方は、次の記事もごらんください。
老老介護
老老介護とは、介護者と要介護者の両方が65才以上の高齢者である状態を指し、老老介護を続けていくうち、介護者、要介護者ともに認知症を発症し認認介護となる危険性もはらんでいるため、あまり望ましい状態とは言えません。
老老介護は次のような原因で引き起こされます。
- 平均寿命と健康寿命に差があるため
- 他人に頼るのに抵抗感があるため
- 経済的に苦しいため
また、老老介護には次のようなリスクがあります。
- 社会との接点が減る
- 認認介護に移行する可能性がある
- 2人孤独死につながる可能性がある
老老介護における有効な解決策の最新情報についても興味のある人は、次の記事もごらんください。
認認介護
認認介護とは、認知症にかかっている人が認知症にかかっている人を介護する状態を指します。
認認介護には次のような問題点があります。
- QOLの低下を招く
- 要介護者が適切な介護を受けられない
- 介護者の精神的、肉体的な負担が大きい
- 虐待につながる可能性がある
- 共倒れになる可能性がある
認認介護における予防方法の最新情報についても詳しく知りたい人は、次の記事もごらんください。
陽陽介護
陽陽介護とは新型コロナウイルスに感染した福祉施設の職員が、陽性の利用者を介護することを指します。
2021年度の介護報酬改定に伴い介護サービス事業者には、感染症や災害が発生した場合であっても必要な介護サービスを提供できるよう業務継続に向けた計画などの策定、研修の実施、訓練の実施が義務付けられました。
しかし施設内・法人内・地方自治体・関連団体に依頼しても人員を確保できなかった場合についての対応方法は記載していないことから、福祉施設で働く職員の多数がクラスターなどで新型コロナウイルスに感染した場合、やむを得ず陽陽介護をしなければならなくなるのです。
陽陽介護が増加している背景には、次のようなことがあります。
- 福祉施設でクラスターが発生している
- 医療職の人員配置が介護士と比較すると少ない
- 感染症の専門家が少ない
陽陽介護に陥らないために施設ができる対策の最新情報や、国と一般社団法人日本環境感染学会が行っている陽陽介護への支援に関する情報についても知りたい方は、次の記事もごらんください。
ミッシングワーカー
ミッシングワーカーとは労働経済学の用語で、雇用統計上求職活動をしていないため失業者としてカウントされない人たちのことを指し、労働政策を専門とするアメリカのシンクタンク、EPI=エコノミック・ポリシー・インスティテュートによって提唱されました。
2018年6月2日に放送されたNHKスペシャル「ミッシングワーカー 働くことをあきらめて・・・」では専門家の推計で、ミッシングワーカーが103万人いると指摘されたのです。
ミッシングワーカーが増加する背景には、次のようなことがあるとされています。
- 介護離職をする人の増加
- 非正規雇用者の増加
- 40代~50代の再雇用は成功するとは限らないこと
また、ミッシングワーカーの増加には、次のような問題点があります。
- 社会的損失
- 貧困層の拡大
- 社会との隔絶
ミッシングワーカーをこれ以上増やさないための対策における最新情報についても知りたい方は、次の記事もごらんください。
参考:NHKスペシャル「ミッシングワーカー 働くことをあきらめて・・・」
介護における最新のケア手法
介護における最新のケア手法として、「ユマニチュード」「介護美容」「レスパイトケア」「アニマルセラピー」の4つを、最新情報や知っておきたい用語も交えてご紹介します。
ユマニチュード
ユマニチュードとは認知症におけるケア技法の1つで、1979年にフランスの体育学の専門家イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティにより提唱されました。
ユマニチュードはケアの担当者が高齢者を尊重する気持ちを伝えるための手法である4つの柱と、ユマニチュードを行う手順である5つのステップから成り立っています。
ユマニチュードの4つの柱と、それをする時に意識しなければならないことは次の通りです。
項目 | 意識すること |
見る | ・目線の高さを合わせる ・正面から見る ・近くから見る |
話す | ・低めの大きすぎない声で話しかける ・前向きな言葉を選ぶ ・オートフィードバックの手法を用いる |
触れる | ・広い面積で身体に触れる ・身体を強くつかまない ・ゆっくりと手を動かす ・鈍感な場所(背中、肩など)から触れ始め、少しずつ敏感な場所(手、顔など)に移動する |
立つ | ・日常生活動作の中でできるだけ立つ時間を増やす |
またユマニチュードの5つのステップとその概要は次の通りです。
ステップの種類 | 概要 |
Step1「出会いの準備」 | 事前にケアのため訪問することを知らせる段階 |
Step2「ケアの準備」 | ケアを担当することを伝え、ケアをしてもよいかどうかの許可を得る段階 |
Step3「知覚の連結」 | ユマニチュードの4つの柱を意識しケアを行う段階 |
Step4「感情の固定」 | ケアに対して良い感情を持ってもらえるよう配慮する段階 |
Step5「再会の約束」 | 次回のケアの約束をする段階 |
ユマニチュードを踏まえた食事援助の方法や事例についても知りたい方は、次の記事をごらんください。
介護美容
内閣府が2014年に行った「高齢者の日常生活における意識調査」で全国の60才以上の男女6,000人を対象におしゃれについてどの程度関心があるのかをたずねたところ、次のような結果が出ました。
1994年 | 2004年 | 2014年 | |
おしゃれをしたい | 48.7% | 53.4% | 69.0% |
積極的におしゃれをしたい | ー | ー | 8.0% |
この結果から、高齢者においては少しずつ美容意識が高まってきていることがわかるでしょう。
介護において美容ケアを取り入れるメリットは次の3つです。
- 社会参加がしやすくなる
- 自己肯定感を高められる
- 心理的に安定する
介護保険外サービスとして位置づけられる介護美容の最新情報についても知りたい方は、次の記事もごらんください。
レスパイトケア
レスパイトケアとは介護を担う家族が一時的に介護から離れ、休息をしてリフレッシュを図るために行われる介護サービスのことで、英語で小休止や息抜きといった意味を持つ「Respite」から名付けられました。
レスパイトケアを取り入れる目的は次の3つです。
- 介護疲れをいやす
- 介護離職の防止
- 高齢者虐待の防止
またレスパイトケアは介護保険、医療保険、介護保険外の3つのサービスを用いて行うことができますが、それぞれの詳細や、レスパイトケアの具体例についても知りたい方は次の記事もごらんください。
アニマルセラピー
アニマルセラピーとはQOLの向上を目的に動物と触れ合ったり、関わったりする活動のことを指し、日本において作られた造語ですが、世界共通の正式名称はAnimal Assisted Activityで動物介在活動と訳すことができます。
アニマルセラピーは動物と触れ合う場を提供する行為のため、動物の愛護及び管理に関する法律の第10条では「動物の展示」と分類され第一種動物取扱業者として登録する必要があると定められています。
アニマルセラピーには犬、猫、うさぎ、モルモット、ハムスター、小鳥など人間とともに長く暮らしてきた生き物が適していると言えるでしょう。
アニマルセラピーの効果についても知りたい方は、次の記事もごらんください。
参考:e-GOV法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」
参考:環境省「第一種動物取扱業者の規制」
宅配クック123では常に介護の最新情報に目を向けています
宅配クック123では常に介護の最新情報を収集し、それに基づいた仕事のやり方や情報発信をするようにしています。
例えばお届けするお弁当の1食あたりのタンパク質の量を16g~24gとしているのは、厚生労働省からの最新の配食ガイドラインに基づいてのことで、認知症サポーターの資格取得を始めたのも、今のようにこの資格が世の中に認知される前からでした。
介護の最新情報に基づき、常に進化しつづける町のお弁当屋さんでありたい。
宅配クック123は、そんな風に考えています。

まとめ
介護における最新情報を自分の力で収集し続けるのは大変ですが、情報提供を受けた時に「社会問題」「ケア手法」といった形でジャンル別に整理しておくだけでも、忘れにくくなります。
ぜひ新しい情報に目を向けることを忘れず、日々の仕事に少しずつで良いので取り入れていってください。